Michael-Jackson-Blood-On-The-Danc-3089841995年『HIStory』のリミックス盤として発売された割には、新曲5曲を含む豪華さ。今までのマイコーは、『Thriller』『Bad』『Dangerous』にしても1枚1枚に世界的大ヒットを狙わないといけないという張りつめたものも感じましたが、この頃のマイコーは創作意欲に溢れていたというよりも、一時のPrince のように解放感に満ちた印象が強かったです。だから、ヒット作を狙うというよりはマイコーを様々な角度で楽しんでもらうために用意されたアルバムだったのかなぁと感じています。ただし、マイコーのディスコグラフィーを語るときには、これはオリジナルアルバムとして認識されないことが多く、埋もれてしまってる新曲が切ない…。アメリカではPOP24位止まりながら、世界各国では大ヒットしました。

1.「Blood on the Dance Floor
Teddy Riley も制作にかかわった作品。強力なビートが印象的で、ロックなマイコーは「Give In To Me」の展開にも似てる(でもPOP寄り)。アルバムからの新録1st シングルとしてカットされ、POP42位・R&B24位を記録
2.「Morphine
6分半程の気合いの入った楽曲がいきなり2曲目に。ロックテイストで、ライヴ映えするんだろうなぁと妄想…問題は中盤の切なくドラッグ“モルヒネ”について歌う流れ。当時からマイコーには薬は必要不可欠な問題だったのかも・・今だからこそ深く考えさせられる曲です
3.「Superfly Sister
またまた6分半。延々同じリズムで歌い続けるので、アルバムの中で印象薄にならないか心配(笑)。でも、完全に一人ファンク状態のPrinceに近くなってます。それはギターやドラムビートやコーラスもそうなんだけど、呟きヴォイスを多用している歌唱が新しいんですよねー
4.「Ghosts
HIStoy』収録の「HIStory」とカップリングで、2ndシングルとしてリリースされた作品。曲内容は別として、サビのスムースさはファンの人気度に繋がってるはず
5.「Is It Scary
5曲の書き下ろし新曲のうち、ポップファンに最も受け入れられそうな曲調。ロック調は強いけど、それでもマイコーの激しさと弱さが融合してて、さらにJam&Lewisの手腕で音の美しさ・抑揚がうまく表現できてます

6.「Scream Louder (Flyte Tyme Remix)
ここからはリミックス…「Scream」の別ヴァージョンで、シングル『Scream』などにも既収録されているJanet Jackson との共演作
7.「Money (Fire Island Radio Edit)
お洒落ハウスに変貌、これは『HIStory』収録のオリジナルと聴き比べてほしいです。スキャット状態のゴモゴモリリックがたまらなくカッコイイ本作と、シリアスな原曲…リミックスの力を感じます
8.「2 Bad (Refugee Camp Mix)
UK アシッドジャズ寄りのリミックスを、なんでかWycleaf Jean が実現。斬新でした。この後、ワイクリフは「Blood On The Dance Floor」のリミックスも手掛けています

9.「Stranger in Moscow (Tee's In-House Club Mix)
ここからの5曲はハウスヴァージョン。シングル『Stranger In Moscow』にも収録されていますが、原曲の良さを破壊してしまった感が…。原曲を意識はしてますが安っぽさのあるアレンジは否めず、それでもマイコーの強弱がうまくビートに乗っかってるのが救い
10.「This Time Around (D.M. Radio Mix)
この曲はプロモ止まりながらシングルカットされていて、評判は上々でした。David Morales によるハウスは無難にBPMをアップさせた感じなので、これならDallas Austin のレアなリミックスを収録しても良かったかも…と思ってみたり
11.「Earth Song (Hani's Club Experience)
過去に何度か登場してますが、この曲を気に入ったらシングル盤をお薦めです。8分→14分の大作になってます。もうこのへんからは、完全にオリジナルアルバムというよりはリミックスアルバムと思わざるを得なくなってますが…
12.「You Are Not Alone (Classic Club Mix)
ハウスミックスの中でも、これは優秀作。ピアノの音や、バラードのヴォーカルを違和感少なく音に乗せたFrankie Knuclesの手腕…美しいです
13.「History (Tony Moran's History Lesson)
これはハウスが大部分を占める作品としては、高い評価を受けても良いくらいのハイライトになってます。原曲のどっしりした歴史ソングはどこへやら?!ヴォーカルは同一ながらBPMとアレンジが変わることで、まったく異なる曲として存在していると言って良いはず!!

マイコーのアルバムの中でも、かなり異色の作品。マイコー好き・R&B好き・POP好き・ハウス好き、それぞれに聴きどころがあるので、ふと気付いたときに手にとって聴いてほしいと思います。全部をいきなり好きになるのはジャンルの壁あれ、難しいと思うので、まずは好きな1曲を是非見つけてください。

ブラッド・オン・ザ・ダンス・フロア〜ヒストリー・イン・ザ・ミックスブラッド・オン・ザ・ダンス・フロア〜ヒストリー・イン・ザ・ミックス
アーティスト:マイケル・ジャクソン
販売元:エピックレコードジャパン
発売日:1997-05-21
おすすめ度:4.0
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