quietクワイエット・ストーム…タイトルを聴いただけで、このアルバムに惹きこまれてしまうというか、この時からこんな言葉が使われてたのかぁって思うかもしれないですね。Marvin Gaye, Curtis Mayfield, Al Green と、ファルセットを多用させたスウィートなソウルシンガーいますが、スモーキーならではの考案でのクワイエットストームは、その後のブラックミュージックに大きな影響を持たせるものとなります。

スモーキーにとって、ソロ3作目。ソウル自体が後退した始めていた時期だけど、実直に新しいソウルに傾倒した作品を生み出していたのは、さすがの才能。このアルバムは7曲中、最初の3曲がシングル。出だしでの掴みはOKだし、その後の流れもさくっと聴けて、いやいや70年代中期ナイスメロウとして輝いています。

1.「Quiet Storm
3rdシングルで、R&B25位・POP61位を記録。延々ファルセット、演奏も温かな包まれるような優しさで溢れた仕上がり。これこそがクワイエット・ストーム(穏やかな嵐)の原点として、噛みしめたい1曲。まるで森林のイオンに当たっているような感覚に陥ります
2.「Agony and the Ecstasy
2ndシングルで、R&B7位・POP36位を記録。木陰でうたたねしちゃうかのように、コーラスが子守唄状態。スモーキーのファルセットも、ほんとメロメロ
3.「Baby That's Backatcha
1stシングルで、R&B1位・POP25位を記録。ナイスグルーヴ、そこにファルセット並の甘いヴォーカル。メロディよりも雰囲気でぐいぐい世界観を展開
4.「Wedding Song
結婚ソングと言っても、幸せオーラを感じる一方で、独特のまろやかさだけで押し通してしまう力技。この滑らかな堂々さは、アルバムのテーマがあまりにもしっかりしているからか
5.「Happy (Love Theme from Lady Sings the Blues)
Michael Jackson も、こういうファルセット好きだろうなぁと想像してみたりして。旨みのあるファルセットは正にスモーキーの技。7分超、このタラタラした流れの中で独特な甘みを出しちゃうのは、もう神業
6.「Love Letters
少しのファンキー、だけど嫌味のない甘みのある展開
7.「Coincidentally
6曲目を更にテンポアップさせ、よりアルバムの流れにおいてはグルーヴィさを滲みださせています。と言ってもテーマはぶれず、サックスとコーラスの掛け合いは、別の意味で“こういうのもクワイエット・ストーム類”というのを教えてくれる印象

曲間に風の音が入っていたりして、(しつこいようだけど)クワイエット・ストームのバイブル的な感じがします。1991年以来、リマスターされていないのが何故だかわからないのですが(もっと評価してほしいし)、これを今日の今日まで聴いてなかった僕も、勿体なかったと思えました。ナイス音楽観点&ナイスグルーヴ賞!

A Quiet StormA Quiet Storm
アーティスト:Smokey Robinson
販売元:Motown
発売日:1991-12-16
おすすめ度:3.5
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