looktoyouいよいよ、ホイットニーの新作です。クリスマスアルバムの発売はあったものの、そして2002年には『Just Whitney』なるオリジナル作もあったものの、どれも泣かず飛ばずだったので、いよいよ本腰を入れての復活作になるか、期待がかかります。何よりJ RecordsClive Davis は、今回かなりのヒット祈願(プロモーション)を行っているみたいで、そういった力もうまく作用しそうな予測もつきそうですが。

本作でまず目に止まるのがジャケ。どのジャケも奇麗なんですが、いやいや、離婚後のホイットニーは、あっけらかんとしてて、純粋に美しいなぁと。そして制作陣!!Alicia Keys、Swizz Beatz、Johnta Austin、Stargate、R.Kelly、Diane Warren、David Foster、Akon…1998年『My Love Is Your Love』に匹敵する豪華さがあると思います。そして中身!!決して急がず、あせらず、等身大の彼女が詰まった、だらけのない作品に仕上がっていると感じることができましたよ。

1.「Million Dollar Bill
Alicia Keysが参加したことで話題になっている1曲目(放題:100万ドルの恋)…。 Norman Harris、Swizz Beatz も加わり、どこかファンクな味わい。派手じゃないんだけど、生音でぐいぐい押し通し、メロディを楽しんでいるのが至る所に感じます。「Whatchulookinat」なんかはゴシップ的だったけど、正統派なリリックも女王復権的に、リスナーにしっかり届くと思いました
2.「Nothin' But Love
今のアレンジを奏でながらも、涼しげにセルフコーラスが響き、じわじわ響く厚みのある音・早口でもしっかり響くリリック…Fernando Garibay、Danja の起用が成功してます
3.「Call You Tonight
Johntá Austin, StarGate 作、ここでも早口ぎみにリリックが軽やかに展開するけど、聴き苦しさは無し。高音もしっかり聴こえるし、ホイットニーの新しいヴォーカルのパーツを見つけられたかのよう
4.「I Look To You
ゴスペル調にも感じるけど、もう完全にR.Kelly 節。彼の表現する世界が、ホイットニーにそのまま乗り移ったかのように感じます。多少荒々しさがあるけど、『Just Whitney』収録のバラードのように聴き苦しさがあるわけじゃない。メロディの良さと、ホイットニーの素のヴォーカルが絶妙に混じり入った佳作!
5.「Like I Never Left (ft. Akon)」
既に昨年エアプレイされていた曲。下手したらミドルテンポの音はけだるく感じる恐れがあるのに、エイコンがうまくホイットニーを引き立てて、単調な音もなかなか耳馴染み良い総仕上がりという感じに
6.「A Song For You
以前からライヴで披露され続けてきていたけど、スタジオ録音は今回が初。Leon Russell の名曲をStargate が料理。普通に歌ってもらっても十分堪能できたけど、ここが今作のひねり!2番の歌詞からは四つ打ちを採用。音に任せ、ホイットニーの高音部に期待するなんていうオチにならないのが、しっかりちゃっかり等身大
7.「I Didn't Know My Own Strength
Diane Warren 作、David Foster プロデュース…アメリカお馴染みのヒットの法則です。日本では「笑う警官」という映画の主題歌にも決定したそう(邦題:夢をとりもどすまで)。「(Try It) On My Own」くらいのインパクトに感じたので、ヒット性には疑いありですが、これぞホイットニー的。声の荒々しさが目立ったかな
8.「Worth It
Eric Hudson プロデュース…アルバムの中にあっては、こういう緩い曲も多少は必要?!声の少々の劣化を感じたのは申し訳ないですが、ありったけの荒々しさも時には聴きどころ
9.「For The Lovers
2曲目に続きDanja プロデュース、今までにないホイットニーを引き出してくれていて楽しめます。ヴォーカルのインパクトよりは、今の音と今の声が面白く結ばれてこそ響く楽曲です
10.「I Got You
ホイットニー自身も作品に参加、Akon がコーラスとプロデュース。ちょっとデジタル傾倒ですが、唯一ヒップホップを感じ取れます
11.「Salute
4曲目とは異なる趣向でR.Kelly が制作・プロデュース。なんかBrandy あたりが歌っても違和感なさそうな抑揚の強いテイスト。こういった実験的な曲がラストというのは嬉しいです

全体的には75点くらいかな。後半、荒々しくなってくると“ヴォーカルはまだ完全じゃない?”と思えてしまうので…。ただ、しっかりリスナーに届けたいという気持ちをもって音楽活動を復活させているのが伝わってきたのが何より好感でした。今後、ライヴパフォーマンスなどの場でのアピールによって、作品の響き方が変わってくるかもしれないです。ベテラン(扱いでいいっしょ?)作品としては、押さえておくべしだと思いますよ。

I Look to You
アーティスト:Whitney Houston
販売元:Arista
発売日:2009-08-31
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アイ・ルック・トゥ・ユー
アーティスト:ホイットニー・ヒューストン
販売元:BMG JAPAN Inc.
発売日:2009-09-16
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