Diana76ソロキャリアのダイアナって、シングルヒットの記録は残ってるけど、特に70年代中盤ともなるとアルバム単位の評価がいまいちな気がするなー。おそらくモータウンを背景にしていたものの、アイドル色が消えるのは仕方ないにせよ、どんどんブラック色が消えてしまい、R&Bファンから遠ざけられてしまったような印象が強いです。

もちろん、当たり前のようにポップフィールドに広げ、ディスコ期にはある程度その並には乗ったけど、かつてのファンを喜ばせるには至らなかったというのが彼女のスタイルになってしまったような…(もしかしたら、1970年以降も活躍するダイアナ無きThe Supremes のほうがR&Bファンには好意的に受け入れられているのかもしれないですね、僕の予想なんですけど)。

本作は、何度かCD化されてきましたが、今はあんまり見かけないっていうくらいに、なんか軽視されてしまっているような。でも当時はPOP5位・R&B4位を記録する大ヒット。No.1シングルも含み、計4曲のヒットを含む本作は、彼女のヒストリーにおいても、ブラックミュージック界においても、“しなやかな良い作品”って感じがします。マストだと思うんだけどなぁ〜…っていう僕もようやく最近中古にてゲットしました。

1.「Theme from Mahogany (Do You Know Where You're Going To)
1stシングル、POP1位・R&B14位(グループ合わせて15曲目の1位)。言わずと知れた、邦題「マホガニーのテーマ」…っていうくらいなので、まんま“マホガニー”っていう映画の主題歌になります。このサントラは今も入手しやすいんですが、何故このアルバムは入手しにくいんだろう…。曲自体はダイアナのベスト盤なんかでも恒例の収録なので、有名でしょう。奇麗なメロディ、それにぴったりのダイアナのジャジーなヴォーカルが、美しいです。Mariah Careyがベスト盤『#1's』にてカヴァーしていたのも日本では有名だと思います
2.「I Thought It Took a Little Time (But Today I Fell in Love)
2ndシングル、POP47位・R&B61位。これもベスト収録なんかも結構ありますね。ストリングと、サビでのコーラスとのバランス感、スイング感が決め手でしょう。どこまでも、優しく歌い上げる路線は、70年代の一人甘茶にも通ずるのでは
3.「Love Hangover
3rdシングル、POP・R&B共に1位(グループ合わせて16曲目のPOP1位)。途中までエロエロスローな調子なのに、急にテンポを上げて展開する様は、結構斬新。それも延々美しいなぁと。ディスコ定番と聞けど、この前半はどうやって空間を保ったんだろう??
4.「Kiss Me Now
Love Hangover」B面曲。ミュージカル要素たっぷり、淡々と低〜中域で語るように歌ってます
5.「You're Good My Child
コーラスや演奏はR&Bファンにも面白い響きなんだけど、ダイアナのヴォーカルが完全にポップに寄ろう寄ろうとしてるのが伝わります。というか、昔の元気さよりも、息遣いで少々速いリリックを歌うという無理やりな印象も受けました
6.「One Love in My Lifetime
4thシングル、POP25位・R&B10位。小粋にファンクなアレンジが良いですね。ダイアナも突き抜けたヴォーカルを披露してて、これは個人的にははまりました。当時のソウルシンガーがもがいていたようなアレンジだけど、そこを彼女のポップさという武器を用いてオリジナリティソングを創り上げているような気もします
7.「Ain't Nothin' But a Maybe
Asford & Simpson 楽曲、アレンジ自体(コーラスや演奏)はかなり洗練されているソウルという味がするんだけど、アダコンポップというのに近いかな
8.「After You
I Thought It Took a Little Time (But Today I Fell in Love)」のB面曲。ほっとするようなスローバラード。ストリングスが華麗に、コーラスの絶妙な加味もなかなか
9.「Smile
One Love in My Lifetime」のB面曲。お馴染み、チャップリン作曲のスタンダードナンバー。Michael Jackson もカヴァーしたけど、Jermaine Jackson がMJ追悼式にて歌ったのも記憶に新しいところ。ここで聴けるダイアナのヴァージョンは、呟くように歌う独特感。正統派に歌ってほしいと思う方も多いと思うけど、歌唱もこれまでとは異なり、解釈が面白いです

全曲、ダイアナの新境地というのが感想かな。モータウン期だったり熟年の味を楽しむ時期ではないけど、このころのダイアナは、新しい世界観を次々と生み出していたように思います。ジャケだけ見ると、なんかシリアス感もあるけど、この上目遣いの妖艶な感じも、しっかり詰まってます。

Diana RossDiana Ross
アーティスト:Diana Ross
販売元:Motown
発売日:1992-02-10
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※こちらはオリジナルアルバムではなく、サントラCD
MahoganyMahogany
アーティスト:Diana Ross
販売元:Polygram International
発売日:2000-06-13
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