electrifyingちょっと前に、アレサのコロンビア期作品を取り上げましたが、先日発売された『3 Original Album Classics』に同じく収録されていたアルバム『The Electifying Aretha Franklin』を。アレサのデビューより2枚目のオリジナルアルバム。デビューアルバムはJohn H. Hammond 自らが携わったりして、そこそこヒットしたけど、ここからは早速も微妙な扱いになってしまい(一応は総合プロデューサーだけど、サウンドプロデューサーとしては微妙)、アルバムの魅力が薄れている…と指摘されてしまってます。まだ2枚目なのに、勿体ない!でも、世俗音楽を素敵に歌うアレサ、まだ葛藤はあると思うけど、10代の最後のヴォーカルがしっかり詰まったアルバムになってます(リリース時のアレサは20歳成り立て、アルバム自体のチャートインは無し)。

1.「You Made Me Love You
しっとりした薄めのストリングスアレンジのバラード。ジャズ志向というのはぶれてないけど、奇麗に淡々と歌われてて、なんか物足りない?でも、後半のシャウトにはアレサのソウル期からを好む人にとって、にんまりする部分じゃないかな
2.「I Told You So
2曲目も、しっとり。でも幾分、軽やかに楽しげに歌われるアレンジがなかなか。
3.「Rock-A-Bye Your Baby with a Dixie Melody
1stシングル、全米POP37位。全米コロンビア期のアレサにおいて、最もポップヒットしたナンバー。1918年 Jean Schwartz のカヴァーで、 Al Jolson, Sammy Davis, Jr, Judy Garland, Jerry Lewis, Cher なども取り上げてます。アレサの出だしのピアノが印象的、あとはジャズというよりも、確かにスタンダード色が強い名曲なので、アレサの魅力ある伸びやかなヴォーカルがうまく調和したのでしょう。当時のアレサの発表したポップソングにおいては、今でも度々アレサはライヴでも披露
4.「Nobody Like You
James Cleveland 作、この曲はジャズという印象は薄れてて興味深い楽曲。アレンジがちょっぴり惜しいけど(ちょっとしたホーンが)、アレサのピアノとのヴォーカルだけが比較的前に出ていて、ゴスペル的な味わいがあります
5.「Exactly Like You
楽しげブギーなミドルスロウ、前曲との曲目の並びもアルバム上こだわりがあったのかな。聴きどころは高音部が少なめで、低音の重厚さがいいんです!この渋さを10代で表現してたところに悶絶
6.「It's So Heartbreakin'
聴けば分かる、1970年の自身のヒット「Don't Play That Song」と出だしのピアノが似まくり。あとは、爽やか淡々ヴォーカル
7.「Rough Lover
2ndシングル(B面)、R&B94位を記録。デビューアルバムでも核となっていた「Won't Be Long」のような強めなタッチの曲。さらにアレサのヴォーカルが荒々しいロカビリーテイストで、聴きごたえ有り!
8.「Blue Holiday
ホーンが邪魔なだけで(ジャズとしてはOK)、普通に聴いたらソウルフルなアレサ。こういうのが、やっぱりしっくりきてしまうなぁ
9.「Just for You
景色が見えてくるような素敵な程良いアレンジと抑揚あるアレサのヴォーカル。ここまで表現が柔らかいと、ジャズとして身構えてしっかり聴くことができような
10.「That Lucky Old Sun (Just Rolls Around Heaven All Day)
ジャズの名曲ですが、後にJames Brown だったり、ソウルシンガーにも愛されていくバラード。ストリングスが華麗すぎて、ソウルを表現するには難しくとも、アレサの滑らかなヴォーカルと元のメロディにただただ感嘆
11.「I Surrender, Dear
2ndシングルB面、R&B87位を記録。今のR&Bの趣には全く近くないんだけど、ポップな半面デイープさを兼ねた展開に不思議な感覚
12.「Ac-Cent-Tchu-Ate the Positive
ラストは、ミュージカルテイストなアレンジ。ほのぼのなアレサ。前半の太線、後半のシャウトと独自アレンジのヴォーカルライン。魅力ありますね。元は1940年代の楽曲だけど、1960年代になると、Ella Fitzgerald, Sam Cooke などが相次いで取り上げていきます。確か、昔安藤美姫がエキシビションでも取り上げたらしいですが、何ともレアな

全体的にアルバムとしてのまとまりは、ある方だったんじゃないかなぁと思います。おそらく、本作までは…という感じでしょうか。また、最後の10代の作品として貴重な録音です。さらっと12曲・31分。ジャズの楽曲が多くを占めるけど、それでもソウルファンにも中だるみの少ない仕上がりのような気がしてます。2008年に2in1で初CD化されて以来、2010年には単体CD化。コロンビア期のアルバム再評価にも期待したいところです。

The Electrifying Aretha Franklin/Laughing on the OutsideThe Electrifying Aretha Franklin/Laughing on the Outside
アーティスト:Aretha Franklin
販売元:American Beat
発売日:2008-06-24
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Original Album ClassicsOriginal Album Classics
アーティスト:Aretha Franklin
販売元:Sony UK
発売日:2010-03-02
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