runnin1964年リリースの6thアルバム、R&B9位・POP84位を記録。注目すべきは、アレサとレコード会社のジャズ志向が、徐々にソウルミュージックに傾きつつあるのを感じ取れる点。収録曲の多くがカヴァーで、ソウルが原曲だとアレンジも変にジャズぽくもなく、ワクワク度は高まるばかり。更に本アルバムからの曲は多数TVなどでも披露されていたようで、結構な映像が見つかりました(YouTubeリンク参照)。本アルバムが封入されたボックスに初収録されたDVDの映像以外でたんまり動くアレサが発見できるので、この頃はプロモに重点を置いていたのがよくわかります。

1.「Mockingbird
Inez & Charlie Foxx カヴァー。1967年に再ミックスヴァージョンがシングル化されPOP94位を記録。なんとも賛否ありそうな歌なんだけど、インパクトは相当。くどかったり面白かったり、様々な要素が詰まったミディアムサイケでブギー
2.「How Glad I Am
Nancy Wilson カヴァー、原曲に忠実に。ジャズ度あれど、ヴォーカルの上品さが際立ったスロウ、ゆったりソウル味もなかなか。アトランティック期にも近い、音の奏で方に好印象
3.「Walk On By
Dionne Warwick カヴァー、凛としたディオンヌとは異なり、表現力の豊かさを感じるようなソフトな仕上り
4.「Every Little Bit Hurts
モータウンBrenda Holloway カヴァー。重たい演奏ながら、シリアスな部分・コーラスが引き出す南部臭さなど、良い感じで将来に繋がる名演かと
5.「The Shoop Shoop Song (It's In His Kiss)
Betty Everett カヴァー。多少ポップ度が上がってるけど、キレの良い明るめのヴォーカルには味わいどころ多数
6.「You’ll Lose A Good Thing
Barbara Lynn カヴァー、波止場系の温和なテイスト充満。後半のヴォーカルの抑揚は自然でいて頼りがいがあります
7.「I Can't Wait Until I See My Baby's Face
1999年にMos Def 「s. Fat Booty」にて大胆サンプリングされた「One Step Ahead」B面。長らくアルバムがCD化されなかったこともあり、この曲も含めてレア化されていました。いろんな音が煌めいてるポップ調に、アレサの息遣いが楽しく生々しく響き、総じてエヴァーグリーン
8.「It's Just A Matter Of Time
1stシングルB面。2009年には、この曲名から採用された未発表曲収録のコンピが発売されたのも記憶に新しいところ。ストリングス、ピアノが包み込むように広がり、アレサは絶えず低〜中域を丁寧に歌う、構えて聴くタイプの大人曲
9.「Runnin' Out Of Fools
1stシングル、R&B57位を記録。唯一のリアルタイムシングル。ただ、この曲については当時ジャズ度が高いのでアルバムの全体感からは逆行しているかも。それでもアレサの抑え気味の哀しげなヴォーカルには嬉しい酔い
10.「My Guy
Mary Wells カヴァー、なんともこんなキュートに歌っているコロンビア期は意外!天使にラヴソングをなんかにも正にフィットしそうな可愛らしさでうきうき進行
11.「Two Sides Of Love
LPのみで同名コンピがリリースされたこともあり。少々癖ある巻きヴォーカルあれど、溌剌と楽しげに進行するアレサに幸福感さえ汲みとれます
12.「One Room Paradise
先行して先日紹介したボートラに採用されていたCMでも聴けた、アトランティック期のコカコーラCMソング的なアッパーソウル風。これはソウルファンにはチェックしてもらいたい曲として推し

ソウルを取り入れなければ、というレーベルの作戦でしょうか。全体的には成功とはいえないものの、アレサがソウルに思いを大いに寄せていく契機になったであろう、重要な作品だと思います。アレサは、次回作で完全ジャズの疑似ライヴ盤をオリジナルとして発表して以降、しっかりまとまったリアルタイムオリジナルLPはリリースしていないので、当時の勢いや評価や彼女を取り巻く環境などを知るには、うってつけのアルバムなはずです。個人的には、カヴァー原曲との比較で今後、色々改めて楽しんでいきたいかなぁと思いました。

<コロンビア期完全ボックス、過去レビュー>※あとちょっとで、完全盤レビュー終了だぁ
Disc.1(1961) Aretha (with The Ray Bryant Combo)
Disc.1(1961) Aretha (with The Ray Bryant Combo) (Bonus Track)

Disc.2 (1962) The Electrifying
Disc.2 (1962) The Electrifying (Bonus Track)

Disc.3 (1962) The Tender, The Moving, The Swinging
Disc.3 (1962) The Tender, The Moving, The Swinging (Bonus Track)

Disc.4 (1963) Laughing On The Outside
Disc.4 (1963) Laughing On The Outside (Bonus Track)

Disc.5 (1963) Tiny Sparrow : The Bobby Scott Sessions

Disc.8 (1964) Runnin' Out of Fools
Disc.8 (1964) Runnin' Out of Fools (Bonus Track)

Disc.10 (1965) Yeah!!! (In Person with Her Quartet)

Disc.11 The Queen In Waiting
Disc.11 Today I Sing The Blues

Disc.12 (1964) Aretha '64! Live on The Steve Allen Show DVD

総括 (2011) Take A Look, Complete On Columbia
Pre-CD (2011) Great American Songbook

   

Take a Look: Aretha Franklin Complete on ColumbiaTake a Look: Aretha Franklin Complete on Columbia
アーティスト:Aretha Franklin
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Runnin Out of Fools / Yeah
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