51xqQKXDSUL__SL160_ギル・スコット・ヘロンが、2011年5月27日、ヨーロッパツアーから戻った後に体調を崩し、ニューヨークにて逝去されました。享年62歳。昨年2010年には16年振りとなるニューアルバムをリリース、そしてリミックスアルバムまでリリースするなど、精力的な活動極まりなしという感じでしたが、人生って切ないこともあるね。なんだか、彼の今後がまだまだあると思っていただけに残念。

僕は、おそらく5年以上前に今回取り上げる『Pieces of A Man』を購入してたんですが、どうにも買った経緯を覚えてない・・。どれだけCDが増えても覚えてるのが殆どだっただけに、埋もれ過ぎてたのが明らか。(一応購入したCDのリイシューが2001年になってたので)、おそらくソウルを探索する流れで辿りついたんだろうけど、恐らく5~10年くらい前となるとクレジット買いはまだしてなさそうだし。やっぱり値段かな(爆)。20代前半〜半ばではしっかり聴くに至らなかったけど、昨年の復活作では相当惹きがあったので、彼が亡くなった後からなってしまいますが、彼の遺産に触れてみたいと思います。ドラムやコンポーズはPretty Purdie。 その他ミュージシャンには5曲目以降の共作も行うBrian Jackson,、そしてRon Carter, Burt Jones, Johnny Pate, Hubert Laws 等、結構なメンバーが集ってます。1971年4月19日・20日の2日間だけで録音された2ndアルバム。アルバム・シングル共にチャートインはしていませんが、彼を語る上では結構プッシュされてる作品です。4曲目まではギル単独作。

1.「The Revolution Will Not Be Televised
リードシングル曲。驚くのは、説法でもないけど、ニューソウルな爽やかミドルなソウルミュージック上をラップのように比較的早口に語るのみで進行する点。彼が●●の詩人と揶揄されることも多いのも歴然。あっけらかんと3分程ながら、凄いアクションを示してくれました
2.「Save The Children
ほんわかゆったりビート、2曲目は普通に歌唱。でもテーマは、Curtis Mayfield のようにヘヴィだったりします。それが、彼の歌力・魅力だったんだなぁ
3.「Lady Day And John Coltrane
Billie Holiday, John Coltrane に捧げた軽快ソウル、時代錯綜なんだけど、こういう音を90年代・2000年代に演るアーティストも多かっただけに、彼の音がいかに早くから完成してたってことに驚異。かっちょよすぎる余裕に悶えます
4.「Home Is Where The Hatred Is
ドラミング、そしてシンバル等、パーディの引っ張るリズムがまず神。そしてギターのカットインが心地よくて、あっけらかんジルのヴォーカルがうまく張り付いてて、言うこと無し。当時のモダンが溢れたアグレッシヴ体験
5.「When You Are Who You Are
アッパーにボルテージ上がっても、上質に世界観を横展開。決してポップの直前とて、ソフトにおおらかに包むご機嫌ソウル
6.「I Think I'll Call It Morning
ニューソウルあって、演奏の美しさ突出。ミディアム調、個性よりもちょっとした煌びやかさ。そこに彩るからこそヴォーカルが映えるし。良い音を選んだギルのセンスに唸ります
7.「Pieces Of A Man
タイトル曲。まるで世界が終ってしまかのように、切なく、そっと歌うギルと、ピアノとの静かな伴奏。ここでのギルの歌の表現力は、他に勝る極み。1曲目のポエットラップもそうだけど、ここでは優しく歌うからこそのポエット調
8.「A Sign Of The Ages
前曲の流れにのっとり、バラード継続。ヴォーカルは淡々さが復活しつつも、完全しっとりジャズとなり、美しさのゴリ押し
9.「Or Down You Fall
ミディアムに、哀愁秘めた意味深な展開。テンポもアップさせたりと変則リズム、ジャズ+ソウル+70年代初期メッセージにて、新たな訴求技
10.「The Needle's Eye
シンセとドラムの跳躍、音が生き生きしてて楽しくなってきます。自由に演奏、そして自由に歌われて、しっかりした強さも備えて、最高のポップバラッドに
11.「The Prisoner
テーマは重いな、ラストは9分半。音が救いだったりするんだけど、その音と乖離したメッセージを時に発するギルにドキッとするなぁ。ほぼ演奏ベースだったりして、リリックは多くなくとも、アルバムのまとめがここに有り

1曲目が続いたら良い意味でやばすぎましたが、あとは当時の粋なニューソウルで突っ切ってくれました。後半はジャズ調なので、じっくり味わうって展開が多かったかな。それでも計48分のさっくりした展開。彼の精神、しっかり次世代にも消化させていきたいものです。今夜はギルに酔います。並々強いメッセージに感謝しながら。

<過去レビュー>
2010年 I'm New Here



ピーセス・オブ・ア・マン
アーティスト:ギル・スコット・ヘロン
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Pieces of a Man
アーティスト:Gil Scott-Heron
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Pieces of a Man
アーティスト:Gil Scott-Heron
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