41Z1WXH96NL__SL160_今日はルーサー・ヴァンドロスが亡くなって、丁度6年(7回忌になります)。改めて、彼の音楽に浸るべく個人的に思い出深いアルバムを。本作は11枚目のオリジナルアルバムは古巣Epicを離れ、Virgin にてリリースした唯一の作品。R&B9位・POP26位を記録。十分現役感は示せたものの、今までの彼の実績からすると相当に奮わなかったという扱い。よって、この作品をもって、再ブレイクを果たすこととなるJ Records に移籍…という流れを見ると、グリッターでこけてDef に移籍して再ブレイクを果たしたMariah Carey と全くもって似た流れの先駆者。

僕はリアルタイムとしては、初めて彼の新品CDを買ったという流れもあり(その前に『Any Love』『Forever, For Always, For Love』を中古で買ってはいましたが)。1曲目・そしてラストのゴスペル12曲目で感涙し、アレサのセルフカヴァーに手を挙げて喜び、スティーヴィーやMAWの参加に楽しんだ作品。盛り上がりってよりも、嗚呼、なんとも豊富な才能多角化というべく作品すかね。

1.「Keeping My Faith In You
しっとりスタートする、ゴスペルタッチ含むド級アダコン。Cissy Houston, Lisa Fischer をはじめ、かなりの厚みあるコーラスは味たっぷり。移籍して心機一転、彼の決意たるものを汲みとれる第2章
2.「Isn't There Someone
Richard Maxx 共作、ここまで哀愁な2曲連チャンは、更なる大人味。一つ一つを丁寧に歌うスロウバラード、なんといってもアドリブ的なヴォーカル高揚がたまらんのです
3.「Religion
Tony Moran 共作、ながら緩やかな先端スロウR&B。ピアノや軽やかなギターのタッチが気持ちよくて、コーラスが上手い具合に挿入されたりと、かなりの仕組まれた創作
4.「Get It Right (ft. Marcella Precise)」
まず惹きとなる曲がコレ!ルーサーが『Jump To It』に続きほぼ全プロデュースしたAretha Franklin 1983年作からのタイトル曲で(19曲目となるR&B1位獲得)。ルーサーがアレサに提供・プロデュースした曲のセルフカヴァーは初。オリジナルよりもだいぶスロウになりつつも、キーは変わらないのかなぁ、ヴォーカルの凄みを再発見!ダンクラからスロウR&Bに変化、だいぶ異なる解釈だなぁ
5.「I Know (ft. Stevie Wonder on Harmonica)」
2ndシングル、R&B61位を記録。そして本作のタイトル曲では、スティーヴィがハーモニカ参加。ちょっぴしばかり地味なんだけど、切々と歌う正統派アダコンバラード。上質に展開され、駆け抜けていくという印象
6.「I'm Only Human (ft. Cassandra Wilson & Bob James)」
3rdシングル、R&B57位を記録。Marcus Miller 曲参加、爽やかな男性ゲストヴォーカルと共にしっとりと交互にリリックを披露。ジャズ度高し
7.「Nights In Harlem (ft. Marcella Precise)」
1stシングル、R&B29位を記録。今回知ったんですが、PVあったんですね、なんかYouTubeに感謝!でも、CDS流通しなかったし、きっとプロモは微妙だったに違いない。僕はまだ未入手の7曲入りプロモCDSを宝探し中。エッジ利いて、強めのルーサーのヴォーカルが聴ける王道R&B。全体バランス的にもカッチョイイです
8.「Dream Lover
出だし1分、そしてサビについてはコーラス主導で、如何せん地味。それでも、コーラスに酔いつつルーサーがアドリブを加える摩訶不思議な心地になれます。とにかくムードインタールード4分半って感じかな
9.「When I Need You
7分近く、スロウジャズ風。前曲からの流れをうまく考えてるなぁとしみじみ。ただ、この流れにはまらないと、退屈かも。はまれば、新境地として8〜9曲目の流れは御馳走です
10.「Are You Using Me?
4thシングル、Dance46位を記録。生音度高く、ジャズハウスみたいな感触で、洒落オツです。アナログの他、MAW『The Tenth Anniversary Collection』にはフルヴァージョン収録
11.「Are You Mad At Me?
シリアススロウ、こういうタイプの曲が多いのも本作の特長で、ちょっと湿っぽい気分になるかも。これも、そんな代表格で、歌の上手さだけでは、ちょっと飽和気味
12.「Now That I Have You
ただし、この曲が僕には最大のハイライト。とにかく、実直なメロディ、正統派なルーサーの歌唱、後半の盛り上がり、これは他者の追随無き見事なバラード。ただただ、この曲があってこそ、僕はこのアルバムが大好きになったんですよねー

13.「Bad Company
ここからボートラ2曲、日本のレコード会社やるじゃん!と思います。ストリート的なヤリトリをイントロに被せ、ミディアムスロウながら、こういうアグレッシヴな曲をアルバム本編に入れればだいぶ流れが良かったのにと思わせてくれるような、活き活きとした曲調(でも、急転終わってしまう感もあるんですが)
14.「Nights In Harlem (A Darkchild Extended Remix ft. Guru)
このリミックスが収録されたのは国内盤の大メリット。歌い直しテイクで、オリジナルとだいぶ異なるシリアスな世界観はかなりのドツボ。拡張ヴァージョン採用ってのも嬉しいポイント

まだまだCD最前線の時代だったのに、思い起こせばシングルCDがまったく流通しなかったなぁとしみじみ。プロモがもっと良ければもっと評価されたのかもしれないけど、ルーサーとヴァージンの相性が如何せん悪かったですね。Virgin 発1作のみだからこそ、ルーサーにとって特異な作品に仕上がっていると思います。

  

アイ・ノー
アーティスト:ルーサー・ヴァンドロス
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I Know
アーティスト:Luther Vandross
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220px-Luther_Vandross_-_The_Ultra_Selection_album_coverUltra Selection
アーティスト:Luther Vandross
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