SL160_ソウル・ブルースシンガーとして一時代を築いたシンガー、エタ・ジェームズが2012年1月20日お亡くなりになりました(あと5日で74歳でした)。近年病状の悪化が何度も伝えられており、引退を決意した中でのアルバムを本日レビュー。『All The Way』から5年振りの作品で未発表曲集(ラストスタジオアルバム)としてリリースされ、R&B56位・Blues4位を記録(アルバムにおけるR&Bチャートには実に37年振りのチャートイン)。近年はずっとブルース特化の曲が多かった中、ソウルに傾倒したカヴァーに焦点を当てており、これまでとは一風異なるソウルファンにも喜ばしい内容。

1. Groove Me
King Floyd カヴァー、声もフックもしっかりしてる骨太なヴォーカル。サウンドの秀逸を超え、実に堂々たる全体感。ポップさをどけて、いかにもエタ節健在
2. Champagne and Wine
Otis Redding カヴァー、低域でざらついたヴォーカルはGladys Knight の独特の進行に似てるなー。まったりペースで、ほのぼのと綴られるサウンドの絶妙なソウル度は興奮満足
3. Dreamer
Bobby Bland カヴァー、タイトル曲。完全無欠のスロウブルース。個性なヴォーカルの伸びと区切り、パーツ・パーツに味がしっかり加わり、エタならではの完成系
4. Welcome to the Jungle
何ともGuns N' Roses カヴァー、本作においては注目曲じゃないかな、まさかのガンズ採用。ただ聴いてみるとエタ調のどっしりもっさり系。ブルースと化して、完全オリジナルを踏襲
5. Misty Blue
Dorothy Moore カヴァー、哀愁ビリーバンバン。横揺れニューオーリンズの香り、オルガンの挟みが寂しさや憂いを誘います。上質に丁寧に、流れゆくままに
6. Boondocks
Little Big Town カヴァー、幾分荒げたサウンドにヴォーカル。強さもアタックもなかなかの飛ばし、まだまだ現役感は強いけど、全体的に病床前の未発表作なのかなぁと思わさざるを得ないです。ただ、こういう眠り音源のしっかりリリースに中盤になって感謝再燃
7. Cigarettes and Coffee
Otis Redding カヴァー、オーティスレイクエム強し。オリジナルをしっかり伝うエタ解釈。ただ、ここでの声は幾分枯れているかのよう。それがまた味だし、表現だし、不思議な魔力とりつかれのバラッド
8. In the Evening
Ray Charles カヴァー、エタにフィットするゴスペル&ソウル感。レイとうまくオーヴァーダブするかのような進行、歯切れ良さ。感情がそのまま滑らかに魂として浮き出たような正真正銘
9. Too Tired
Johnny Watson カヴァー、パーティ的渦に巻かれてご機嫌ホーンの厚みなかなか。あっけらかんとした出来栄えながら、音楽の楽しさを自然とスウィング
10. That's the Chance You Take
Johnny Watson カヴァー、またもワトソン曲ではうって変ってスロウに粛々淡々と。溢れるホーンに溶け込み、まだまだ出るであろう声も抑えつつ、それでもしっかり感情コントロール
11. Let Me Down Easy
Little Milton カヴァー、たたみかけるように熱烈に訴えるエモーション。サウンドもかなり支えてくれていて、7分に亘る厚みあるエンドに

個人的にはブルース傾倒でなく、馴染みある音を、そしてヒストリー的にエタがカヴァーしたくなる曲ってのが真に伝わって面白かったです。これまでになく、まったり進行も少なめ。抑揚ある作品…でも、これが遺作。心からご冥福をお祈りいたします。

<過去レビュー>
1973年 Etta James
1974年 Come A Little Closer
2003年 Let's Roll
*2008年 Cadillac Records V.A.


 

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アーティスト:Etta James
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