SOUL FOOD, SOUL LIFE : R. Kelly / Chocolate Factory (2003)

Rケリー『TP-2.com』から2年半振りとなる5作目、R&B・POP1位を記録（両チャート制覇は3作目、残り2作もR&B1位」・POP2位と超上々）。本作は初のシカゴステップ作品、更に『Loveland』のボーナスディスクまで付属。今回は本編のみのレビューとしますが、個人的にハマりまくった次作『Happy People』ばりに改めて最近聴きこんでいたりします。やはり、Rケリーの評価を更に押上げたリズム、この作品から始まったと思うと感慨深く。見つけてくるポイントに、プロデューサーとしての威力大に、ふつふつ。

1. Chocolate Factory
タイトル曲、中域で刻むようにゆったりバウンス。清々しく上質なオープニング
2. Step in the Name of Love
3rdシングル、R&B1位・POP9位を記録。本作にて、シカゴステップ力を格段に押し上げる力作。ほろろんとスタートする緩さ、温かさ、ソフトさ、もーこの自然体にうっとりダンス
3. Heart of A Woman
ちょいクールダウンにスロウダークネス、熱烈に掛け合いつつも、現代風な刻みを魅せる深いバラード
4. I'll Never Leave
プロモシングル、R&B29位・POP103位を記録。美しきピアノの旋律を加えつつ、広がるリリック、歯切れ良いヴォーカル。なのにR&Bとしての新たな新境地と言うべく、熱いのにマッタリ度
5. Been Around the World (ft. Ja Rule)
クールに流れゆく双方の重ねヴォーカル、見事に融和。声質のダブりがたまらん相性。当時乗っていたジャ・ルールあって、その勢いビンビン飛んでくるし
6. You Made Me Love You
ギターのイントロ、ブラックシネマ風、オールディーズ感強し。あれれ、なんかシカゴステップなアルバムの流れじゃなかったのか…と思うほどに、ブラックミュージックの変遷をあれこれ聴く流れじゃん。って今気づいた、先入観って怖いもので
7. Forever
プロモシングル、R&B71位を記録。王道クラシックソウルトリビュート？ループループするセルフコーラス、そこに味付けするヴォーカルはSam Cooke のような。でもサウンドは現代風アレンジのソウル解釈
8. Dream Girl
夢寝見なピアノはMary J. Blige「All That I Can Say」のような転がり、歌い紬はStevie Wonder風。各種ソウルの走馬灯。美を備えたセンスはケリさんならでは、フワフワしたサウンド流石の別世界
9. Ignition
オリジナルヴァージョンは、個人的にあんま耳にしてなかったせいか、異曲としか思ってなかった、さらりと流し過ぎってやつです。淡々と歌う中間曲風、それに次いで繋がるギターはエッセンス多彩だけど
10. Ignition (Remix)
1stシングル、R&B・POP2位を記録。前曲を受けてパート2的な仕上り、リリックの早口技・ポップなサウンド、3分程しか無いんだけど、こりゃアーリーパーティ
11. Forever More
息遣い油断無し、絶えず各種手法で迫るヴォーカル溢れん。地味なサウンドながら、セクシーさや真面目さやら、何だろこの抜け目無さミディアム
12. You Knock Me Out
個人的に好きなハマリ。ドゥーワップ的なサウンドに、垢抜けのヴォーカルを乗せて新たな洗練さ。旧くなく、でも新しさも欠如。ぽっかり浮いたトラックながら、個性は強いぞ！
13. Step in the Name of Love (Remix)
アルバムのハイライト、7分超に及ぶ2曲目のリプライズ。ストリングスも塗され、爽快なシカゴステップ。本作にては曲数が実は少ないながら、シカゴのエッセンスのインパクトを及ぼす、本曲の堂々さ
14. Imagine That
美メロに、熱烈に吹き込むヴォーカルに胸は熱くなります。でも、そこまで気負いせずに聴けるクールさに、ケリさんの上質があるんだなぁ
15. Showdown (ft. Ron Isley)
ロンさんとの共演、恒例化してきました。エロエロにするために先決なキャラ、途中馬の鳴き声やら、8分に亘る曲にてドラマ仕立ての流れはインパク知。でも、今回はまだマトモ、切々とつづる印象
16. Snake (ft. Big Tigger)
2ndシングル、R&B9位・POP16位を記録。次なる「Thoia Song」に続くようなサウンドを用いて、軽々しいヒップホップな心意気。まだまだ攻め足りないご様子ケリさん、セルフコーラスにもどんどん次なる一手
17. Whos' That (ft. Fat Joe)
プロモシングル、R&B65位を記録。ラストは、ステップ関係無しにラップ推し、チョコレート工場にて創造する刹那、秋風、あっけらかん

17曲・76分。膨大なボリュームながらに、ボーナスディスクには6曲・25分（ボートラ盤では7曲・30分）。どうにもこうにも100分以上。手抜きも無いし、リリックも真新しいままに。ただし、シカゴステップ強調は良くなかったですね、それは新たな発見。模索している中にシカゴステップも含まれていて、それが次作に儲けもんで見つかったというか。エニウェイ、爽快な音の詰まり。飽くなき才能万歳。