IMGP0167定刻は21時40分(ただしオフィシャルHP上では21時47分となっている微妙な刻み)、プログラム上は23時からアンコールフィナーレがある記載のため、アレサの出番はちょうど1時間くらいかなぁと読んでおりました。でも、チャカ・カーンがアンコールとなったことで、多少のズレは生じている模様で、チャカは23時45分・・・となるとR&Bディーヴァスのフェイス・エヴァンス等は、その前ってこと??いずれにしても、時間になってみないと分からないのが、今回既に痛感している本イベント(アメリカのイベント全体?)の進行。

ただし、メインステージ3組目でアレサの前となるアンソニー・ハミルトンのライヴは、21時30分になっても続いている状態。これは先行き不安(苦笑)。自分は、アンソニーを自席ではなく、スーパーラウンジのある2階から時折覗きながら、彼のライヴが終わるのを待っておりました。さらにいうと、アンソニーのライヴあたりでは、ラウンジで観たいライヴがかなり重複していたこともあり、随時時間を見計って行動してたんです。ラウンジのライヴは比較的順調に時間通りに始まるんだけど、これまでの傾向では、メインステージは驚くほどに、時間にルーズ。これは個人的な感想かもしれないけど、ライヴとライヴの間に挟まれるMCやCMやDJ大会などを含め、この辺りで時間調整がきくと考えるのが日本ナイズだと思うんだけど、この時間こそが押す・・・。なんという、、、運営スタッフは会議とか、ちゃんとしてるんでしょうか(爆)。

さてさて、それでも定刻ちょい押しの21時45分くらいに自席に戻ったのですが、ちょうどアンソニーのライヴは終わっていたものの、これまたCMの映像やら、(実際どーでもいいんだけど)なんかお喋りトークが続き、なかなかアレサの出番にならない。ステージには、だいぶアンサンブルがそろった状態なのに、なかなか始まらずヤキモキ(でも、こういったライヴも悪くないよね、初めてアレサをフェスで観るわけだし)。

IMGP016822:20 Main Stage : Aretha Franklin
メアリーの時もそうだったけど、準備がようやく整うと、“19回のグラミー獲得、女性初・ロックの殿堂入り、ローリングストーン誌 偉大なシンガー頂点” というような紹介(本当はグラミー18回・特別賞入れると20回なのでこの紹介は完全間違いでも、平然・・・)。でも、本フェス中は正しく紹介され続けてきた気がしますが。でも、ようやくのようやく、アレサの出番がスタート。今回は、スクリーンでの表現合わせ、どんなステージになるか、新たな視点で個人的には期待してます。7年前の本フェス参加だったアレサは、当日ルーサー・ヴァンドロスが亡くなったことを受け、オープニングのスクリーンで『Jump To It』のジャケをシンプルながら投影し、裸足で「Get It Right」を歌いだしたってエピソードが泣けるのですが…。さて、アンサンブルは、いつも通りゴージャスなストリングス仕様、今回もかなりの人数を引き連れてきてくれました。過去の名曲フラッシュバックのインストを演奏され、場内も徐々に盛り上がを見せ、ようやく始まった演奏はジャッキー・ウィルソンのカヴァーでスタート。アレサのライヴでは結構お馴染になってきていますが、こういうのを期待している人は少なそうだから微妙かな(初っ端から「Respect」とかのほうが絶対にアガルし・・・)。ドレス姿(恰幅戻りつつありそう・・・)、ウィッグはアルバムのイメージにも近いのかな。ゴージャスなアレサが旦那に手を引かれ登場。大御所なりの演出、ドカーンとした演出ではないけどね。で、肝心の喉はかなり快調、アレサもご機嫌なのが伝わります。でも、ここまで全然アレサ関連の映像は無し(なんかWindow Media Player を再生している時の映像みたいな感じ?)

2曲目は「A Natural Woman」、アレサの女性発信賛歌って感じですかね。イントロのピアノだけで場内は歓声。アレサのライヴではお馴染の崩し、最後は延々引き延ばしの手法。盛りたててくれました。

3曲目は「Think」、イントロは長めに。オリジナルは勿論 ブルースブラザーズver. よりもずっとヌルイ感じで、粛々と進行。マダム節ながら、豪快な部分も多々。さっくり終了。

4曲目は「Something He Can Feel」、ホイットニー亡き後に最後の出演映画として話題になっている映画“スパークル”からのオリジナル曲(当時の先行シングル)とあって、アレサはここで小憎いを演出を。ニュー・スパークル・レディの4人をステージに呼び、曲の雰囲気を引きたてる妖艶に躍らせて、アレサも感情込めて熱唱。当時のアレサは35歳、今は70歳。曲の成長を感じるとともに、アレサの今ならではのキュートな表現も興味深かったです。

5曲目は「The House That Jack Built」・・・邦題、ジャックの建てた家(そのまんま)。日本では、本シングルよりもB面としてヒットした「I Say A Little Prayer」・・・邦題、小さな願いのほうが有名。でも、アレサは何気に両曲ともに同じくらいの割合で披露しています。淡々としてるだけど、どっぷり深みにはまれるソウルを披露。

6曲目はアトランティック期デビューシングル「I Never Loved A Man」・・・邦題、貴方だけを愛して。イントロのベースラインだけでゾクゾク。この曲でのアレサの気合は半端なかったです。昔はピアノ伴奏しながらだったけど、今は歌一本で。元々は2分半くらいの曲だけど、オリジナル以上に相当スロウに、そしてじっくり進行し、後半のゴスペルテイストのコブシ、シャウト、高音炸裂。この健在はソウルファンにとってはノックアウトですよ。まだまだ現役感、特にラストの高音は相当に冴えてました。

ここでアレサは一旦舞台袖へ。スクリーンには、Aretha Franklin Tribute とて、Mary J. Blige, Fantasia 等、アレサを称えるコメントと、アレサの偉大なバイオグラフィーをまとめた映像が5分ほど。
※ここで、、超マニアックなネタを。アレサのアルバムジャケットが走馬灯のように映るシーンがあったんですが、そこに出てくる『Jump To It』が帯付きの日本盤(超爆)。普通にスクリーンにカタカナで「ジャンプ・トゥ・イット」って縦書きで表示されてましたが、、、編集者の粗さを楽しませていただきました。来てた日本の方は気づいたのでしょうか?

IMGP0180今年、エッセンスはPower of Your Spirit というテーマでフェスを行っていることもあり、その第1回Power Awards を受賞することになったアレサを、一旦ライヴ休憩で表彰することに。衣装チェンジしたアレサが出てきて、各種ステージ出演者のコメントが入れ替わり。それで10分かかりまして、ライヴ感は相当下降(苦笑)。

それからようやくアレサが、パーティ続行を呼び掛け15分ぶりにライヴ再開。7曲目は「Chain of Fools」。この曲も「Think」同様、最近はこなす感が大きい。でも、マニアックじゃなければ必須な曲。

8曲目は、ホイットニー・ヒューストン追悼で「I Will Always Love You」を。彼女生前もカヴァーしていた曲ですが、死後はピアノ弾き語りでサビをメインに切なさ一杯に歌われるようになりました。あんまり歌詞は出てこないのですが、しっとり6分ほど。
※ここで2つ目のネタを。スクリーンには何かしたらの形でホイットニーの写真がフォトフレームのように写るのですが、なんとその中に何故かチャカ・カーン単独の写真が!それも限られた枚数を繰り返しているものだから、何度もチャカ・カーンの写真が出てくるし。多分、アメリカの方々は、チャカをアレサかホイットニーと思い、あんま疑問も抱かずスルーだったかも、どよめきさえ無かったし。。嗚呼いい加減・・・。
※あと、アレサ、ホイットニー、ナラダ・マイケル・ウォルデン(当時の2人のプロデューサー)の3人の写真も映るんだけど、その後にアレサとホイットニーだけがクローズアップされた写真が映る(分からなくもないんだけど、どちらかの写真だけ映せばいいのに、なんかナラダが可哀そう。。。変なところに意識がいっちゃうし)

9曲目は新作『A Woman Fallin' Out of Love』からB.B.キングのカヴァーを。アルバムに忠実なほうだったかな。今のアレサのキーにフィットしたナイストラック。初めて生で聴きましたが、ブルージーな曲もアレサに似合うなぁと。後半は結構シャウトも激しく。

IMGP019110曲目は再びピアノに戻り、サイモン&ガーファンクルから曲の吹き込みを頼まれたことでも有名な「Bridge Over The Trouble」・・・邦題、明日に架ける橋。これは臨場感を含め生で聴かないと感じられない世界観、最初のメッセージ性から、後半のゴスペル変化まで。実に15分に亘る黒い体験。

ラストは「Amazing Grace」・・・邦題、至上の愛。地元ニューオーリンズのPaul S. Morton が登場しデュエット(元々彼とは長く進行があり、彼のアルバム『Seasons Change』にてタイトル曲をデュエットし、オリジナルPVにも率先して参加、今のところアレサ最後のオリジナルPV参加だったりします)。ポールは至って期待通りの歌力を。もちろん、アレサもアドリブたっぷりでゾクゾク。この次に、別のゴスペル曲も繋がって実に17分。もう完全にやりたい邦題、貫禄は分かりますが、エッセンスフェスの趣旨からして、これで良かったものか。。

それでですよ、普通なら此処で「Respect」を歌ってフィナーレと思いきやアレサ帰っちゃったんです。でも、コールも悪いんですけどね、もう終わりかのように送って行ってしまったので。そうは言っても、遅くまで残ってる観客は疑問だらけ。「まだリスペクト聴いてないよ」との声でオーマイゴッド。。。気を利かせて、演奏隊も急きょアレサが居ないまま「Respect」を演奏するものの、アレサは戻ってきませんでした。会場、超ザワザワ。自分も苦笑でした。だって、最後、拍手無かったもん。会場、ちょっと沈黙してた。それを騙すかのように、鼓笛隊(?)みたいのが出てきて、なんか空気を変えようと演奏してたけど、無意味。疲れに拍車。実は、この時点で24時10分。。辛いよね。でも、このフェス来なければ分からなかった発見。アメリカでの今のアレサの表現、アレサを受け入れる観客の反応、そこが面白かったなぁ。

あと、選曲は・・・8曲が1967〜1976年のアトランティック期からのヒット曲、3曲がそれ以外(全部カヴァー)。アリスタ期を期待してファンも多いと思うんだけど、一切やらなかったですね・・・。しょうがないと捉えるべきか。エッセンスの公式ツイッターで“熱烈に「A Rose Is Still A Rose」をやってほしい”なんてのも載ってたそうですが。残念。自分も、もっとバラエティに富んだ選曲のライヴが見たいなぁと欲。

観客全体の反応としては、アレサが始まる時に結構帰る人も多かった、でも本フェスは見たい人だけ見たら帰るって人も多いみたい。あと、ライヴもどんどん日が変わろうとする時間を前に帰って行く人も多かった。アレサのパートの中だるみ感(ゴスペルパート長く取られ過ぎ、+授与式・・・)ってのも影響してか、アレサのステージが終わるころには完全に左右のスタンドは空状態。


22:20 Start

1. (Your Love Keeps Lifting Me) Higher and Higher Jackie Wilson cover
2. (You Make Me Feel Like) A Natural Woman
3. Think
4. (Giving Him) Something He Can Feel
5. The House That Jack Built
6. I Never Love A Man (The Way I Love You)


Tribute to Aretha Franklin

7. Chain of Fools
8. I Will Always Love You
Whitney Houston cover
9. Sweet Sixteen B.B. King cover
10. Bridge Over The Trouble
11. Amazing Grace - Traditional
(with Paul S. Morton)

24:20 Fin






20120709_00154020120709_00163920120709_00183920120709_00211620120709_00264924:35 Main Stage : R&B Divas(Faith Evans, Nicci Gilbert, Monifah Carter, Syleenah Johnson and Keke Wyatt)
今回、トリビュートすべくアーティストの映像を流しては、追悼を多々行っていたエッセンス。現在、アメリカのケーブルTV One に出演している4名のシンガーが登場し、今年亡くなったシンガーのカヴァーを行いました。順番にDonna Summer 追悼でモニファ「Last Dance」、Vesta Williams 追悼でニッキ・ギルバード(from Brownstones)「Congratulations」、Etta James 追悼でシリータ・ジョンソン「At Last」、 Nick Ashford 追悼でフェイス・エヴァンス「Reach and Touch Somebody's Hand」、Whitney Houston 追悼でキキ・ワイアット「I Wanna Dance with Somebody」。
本来早ければ23:00、遅くとも23:45には発表定刻では予想されてましたが、だいぶ遅い登場に。それだけに、なんか彼女たちが続けて歌うだけってのは、だいぶ勿体なかった気も。更に、予想以上に人が掃けてしまい、ドーム自体がガラガラ。まるで1日目状態。なんか惜しいという気持ちと、あっけらかんとした想いになってしまいました。


20120709_00545020120709_01091225:00 Main Stage : Chaka Khan
なんとも夜中の1時にトリがドームでスタートって、年越しイベントとでも思わないと日本では考えにくいかも。「Feel For You」でライヴスタート。スクリーンも何気に効果的に使っている他、見事にダイエットに成功して機敏になったチャカを観てるだけでも相当楽しい!歌声も痩せずにむしろ健在。初めて見たチャカに深夜ながら感動。アレサで大分押したこともあり、以降のプログラムは結構に巻きに見えましたが、なんかチャカもそれを意識していたっぽいです。ほんとガラガラの会場になってしまい「みんな疲れてると思うけど」という気遣い・・・。いい人だ。でも、歌は相当に攻撃的。「I'm Every Woman」「Tell Me Something」「My Funny Valentine」・・・次々と名曲が続きます。高音バシバシとアタック!特筆すべくはメアリーが前日に歌った2曲。まずはRufus 時代の「Sweet Thing」を会場と一体となって歌う姿は、メアリーを思い出しただけでなく、チャカのエネルギー・人となりも感じました。そして最後の「Ain't Nobody」はメアリーがオープニングとして歌った曲。これがフェス最後になったことで、なんかメアリーとの強力な関係を感じました(でも互いにアレサを称えているところも嬉しいですが)。
※最初のMCの紹介では「Through The Fire」のヒット曲を口出して期待を持たせてくれましたが、演りませんでした。やっぱ削られたんだろうんぁと、勝手に予想。

20120709_013427フェスが終わったのは25:30過ぎ。今日は13:00くらいからライヴ漬けだったので、観客に過ぎないんだけどバテバテ。とにかく充実だったなぁ。ただ、チャカのライヴが30分強だけだったのは当初からの想定なのかどうか。なんか、急きょの変更は大いにあるでしょうね。

わざわざ、ニューオーリンズまで来て、これだけのアーティストを凝縮してみる価値ありました。これからの音楽ライフにも、改めて活気がつきそう。この6時間後にホテル出発。ドタバタでしたが、それなりにエッセンスが観れるスケジューリングができて満足。また来年も行きたい欲が出そうなくらいです。