グラディス・ナイト、世俗作品としては『Just for You』から7年振りとなるソロ6作目(前作は3年前の初ゴスペル作)、R&B30位・POP98位を記録。何故かタイトル曲がインターナショナル盤には未収録で、国内盤のみ収録されているという、時々USで起こりうる不思議な現象を持った作品ですが(自分はUS盤なので、いつか国内盤ほしいなぁと思って早…)、グラディスのオバハン力に磨きがかかり、更にR&Bに貪欲に勝負する姿勢に惚れ惚れした当時。唯一無二の魅力を放ったどストレート、パンチ力な作品と思います。1. Do You Really Want To Know (What Makes Me Fall In Love)
まずは、 何よりこのバラードR&Bに惹かれたのが本心大ツボ。苦しそうなんだけど、ハスキー満点なんだけど、熱烈に歌い上げていくサビが、コーラスとともに訴求度を止めないのがズキュン。Randy Jackson & Tigerプロデュース
2. If I Were Your Woman II
話題になるべくして、前半に持ってこられた曲。70年代初頭のピップス自体の大ヒット曲を、最新解釈で歌い上げる、ソウル→R&Bへの変貌、サンプリング的なグラディスのヴォーカルも挑戦の片鱗
3. I Said You Lied
しっとり、哀愁たっぷり。コーラスの組み方が本作ならでは、新たなグラディスの魅力の引き出し。自然と抑揚になるヴォーカルも旨み
4. Grandma's Hands
実祖母への曲(ブックレットには各曲のコメントが乗っているだけでなく基本誰かへの捧げ、更にはデータトラックにも何曲かについて答えるシーンも挿入)。カントリー・ブルースぽいかな、Mavis Staples ぽい、ヴォーカルもそれに近い低域に根差したスロウ
5. Love Hurts
90年代なんかにあった誠実なバラードという印象、女性R&Bシンガーがバラードを真摯に歌うとこうなるっていうか、童顔氏なんかにも通ずるような美しいメロディ。忠実に歌われ、でもそこに儚さが潜み、全体的に大らか
6. I Wanna Be Loved (ft. Jamie Foxx)
データトラックにもあったけど、ジェイミーとの歌唱ってのは今のR&Bファンにも興味深い共演。Shep Crawford プロデュースの、美しいバラード。ちょっと温度差があるようにヒストリーを感じちゃうんだけど、二人が近づくように紡ぐ息はシミジミ、コーラス効果も大
7. Greatest Love Of All
前曲に続きシェプが担当、ホイットニーのバラードカヴァーではありません。レコードで言えばB面、1曲目にも適うようなパワーあるミディアムR&B。メロディは難解、コーラスがサポートで新たなリズムの誕生。グラディスはちょっと足を引っ張られてる感じするけど、この曲への挑戦は素直に楽しめます
8. Better Love Next Time
1曲目の布陣のバラード。どこか「I Believe I Can Fly」なんかにも通ずるパワーバラード。強力な曲が続くあたり、彼女を取り巻く音楽環境が良かったことを知れて、にんまり
9. Please Help Me I'm Falling (In Love With You)
トラディショナル寄りのバラード、伸びあるヴォーカルはドスが効きまくり。ひねりは薄い分、グラディスのパワーをしっかり感じれるってのが収穫かな
10. Something Blue
落ち着いたバラードなんだけど、前曲以上に気迫が随所に表れてて気が抜けないなぁ。サウンドは上質維持、ゴスペル的な匂いも強い
11. Just Take Me
感動!今は亡きアトランティックの大物 Tom Dowd プロデュース!!彼が現役で、こういったプロデュースをしていたとは。美しさは別格、グラディスを知る者ならではの視点で無理ないメロディで、更なるインパクトや、更には進化までまとわった、なんというかベテラン同士ならではのタッグ
12. Rose Bouquet
ベテランならでは、しっとり聴かせるテクニック、サウンド、メロディ。アルバム後半の癒し
13. That's Why They Call It Love
ラストは、1曲目・8曲目に続くチーム担当。壮大な世界を描き、メロディは敢えて中域にとどめ、じっくり勝負する落ち着きと安定。なんか、彼女のクオリティが最後まで落ちなかったのが素晴らしき
13曲・57分、更には今はあんまり不要なEnhanced 仕様。国内盤は、本作と関係ないのかもしれないけど「At Last」が収録されているので、注目。この時期のグラディスは商業的には中ヒットながら、声も音も円熟味・更には先端をしっかり見つけてて、好きだなぁと個人的に。彼女を語る上では、捨てたくない作品!!


