200The Blue Hearts, Red Warrors, 岡村靖幸、白井貴子& The Crazy Boys、Hound Dog、Boowy、The Street Sliders、尾崎豊、渡辺美里、佐野元春 with The Heatland らが出演した、伝説のロックフェス ビートチャイルド。前述のアーティスト以外にも数組出演してましたが、26年経っての映画化に際して潔くカットされたアーティスト名は伏せておくとして、でも計10組のアーティストが贅沢にも観れる!それゆえに、日本で初めてのオールナイトロックフェス、更には今だったら絶対に人命を優先し中止していたいと思うけど、この時は何が何でも最後まで完走するというスタッフ側・アーティスト側・観客側の熱意があったなぁと。今はコンビニエンスになんでもかんでも手に入って、情報も、音源も、簡単過ぎるんだけど、当時は1曲を聴くために、1アーティストを見るのに熱狂的になれた時代で、、、それが、当時のスーパースターが一挙オールナイトで観れるというのは画期的だし、斬新。苦悩、苦労も凄い感じれたというか。

正直、公開前の情報では、あまりにも簡素なダイジェスト過ぎて(大ヒット曲をチラっと流す程度)、正直イメージ湧かなかったんです。特別興業なので、前売2000円で、通常当日2500円みたいだけど、まずは様子見をしようと。メディアではブツギリで映像は流しまくってるけど、アーティスト都合で映像化は相当ハードル高いんだろうなぁと。だから、本当に、DVD化・再映画公開等は無いんだろうなぁと思ってました。公開後、ツイッターやフェイスブックで、当時ならではの“気づき”、当時ならではの“緊迫感”、そして“感動”を多くの人が感じていたようで、これは映画感で体感しないと分からないのかなぁと思い、急きょ行ってまいりました。でも、これも今ならではの感情だよね。昔は、わざわざ熊本県の阿蘇まで行って、頑張ってチケット手に入れて、行きから帰りまで苦労してこのイベントを体感している人だらけなのに…。映画を見るだけでもこんな感じなんだから、自分でさえ(ちょっとリアルタイムではないんだけど)、かなりラクしまくった人生になってきちゃってるなぁと一瞬思っちゃいましたね。

さてさて、都内であんまり公開されているところが無いんだけど、有楽町であれば近いかなぁと、で19時からであれば会社帰りギリギリ間に合うかなぁと。10月31日(木)、500席ほどの会場は、真ん中付近が埋まってたってくらいで、満員って感じではない。年齢層も高め、これは全てのジャパニーズ音楽ファンに感じてもらって損はないと思いました。正直、自分のお目当ては岡村ちゃん・尾崎豊・渡辺美里 に絞ってたんだけど、すべてのアーティストの凄さがしっかり伝わって、全篇自分においての栄養になりました。

まずは東日本大震災を受けての制作だったことが分かり、音楽の力の凄さを伝えるぞ、という気合いでスタート。終始コンサート中ではなく、まずは前日のリハから。ほぼ出演アーティスト順に会場に到着し(でもブルーハーツとボーイとかは無かったなぁ)、天気良く広々とした空間で楽しく音や会場を楽しんでいるのが伝わります。例えば、尾崎と美里は既に共演経験もあったことからリラックスしながらステージで談笑したり、とも思えば双方飛び上がったり、マイペースに芝生に居たり。まだ、この頃は自然とロックというには違和感あったんだけど、アーティストのオンとオフがしっかり伝わったのが収穫。

だんだんと天気が危ぶまれ、当日は嵐。会場にだんだんと観客が入ってきていたあたりは良かったんだけど、会場を最悪なくらいの雨が。簡単に靴はグショグショ、カッパがあっても、傘があっても、もう避けられない。体温も下がる。本当に最悪な始まり。とは言え日本初のロックフェス、オールナイト。開催側も戸惑いばかり、体力消耗。でも、まずはやってみるという精神、強いなぁと思いました。まずは、今や重鎮で駆け続ける当時ブルーハーツの甲本ヒロト、本当若いし、オチャメ。デビューしたてってことだけど、客の心を掴むMC、ステージ。オープニング抜擢も納得。その後のレッド・ウォーリアーズは、ユカイさんのTV番組の出演が今ではお馴染みも、当時はバリバリのクールなロックシンガー。1曲の貫きを見ても、彼のステージでの完成度の高さを知りました。こういうのも収穫。3番手は岡村ちゃん、まだまだ田舎臭さというか、衣装も凄けりゃ 靴はコンバース(雨に対して踊るため)。まだ歌手デビュー1年目なのに、踊りは奇抜で冴えまくり。ただ、ロックフェスという事を踏まえると、彼はポップファンクだから表現が難しかったんだろうなぁと。でも、その後の腑抜けの楽屋で、客席がほぼ見えなかったと。。。なるほど、アーティストにとっても、どれだけ過酷な状況だったとは。


多分、その後の白井貴子の出演シーンに心打たれた人が多かったんじゃないかな。映画タイトルにもなってるくらいだけど、彼女は豪雨の中で次々起こる問題(スタート時間が1時間半繰り下げ、ギター故障、スピーカー故障、ライヴを始めても次の曲始まらず)、バケツの水をステージで浴びたり、マイクをステージに置いたら反響しちゃったり、、、でもヴォーカルは凄いし、ノリも弾けてるし、前日のリハとは状況一変すぎるけど、完走!彼女の有志は、ホンモノだからこその振る舞い全て。ハウンドドッグは、当時のアーティストの中でもちょい年上、なので結構迫力・重厚さ増し。演奏ばりうま、大友さんのドス・高域絶好調!雨の中を拭うようにステージを抱擁、凄い男気。次いでボーイ、彼らはステージでの様子しか収録されてなかったけど、解散数ヶ月前とて、完全なるパフォーマンス。氷室さんの歌の上手さ、疾走感凄いし、それに添える布袋さん…ちょっと辛そう。曲は劇中4曲くらいあったかな、中でも一番歌のパートに徹していたような。ストリートスラーダーズは、まさかこんなに雨で髪がペチャペチャになってるとは。一番苦しそうな時間に見えたけど、こちらも完走。


ラスト3組はソロ(佐野さんはバンド名と合同だけど)。まずは尾崎、同年イベントへの出演しか無かったし(アルバムツアー無し)、彼はステージで思いっきり弾けまくっていた、リハの様子と全然変わって。でも、ブツギリだから浸れないけど、彼の貴重な映像が蔵出しされて満足。とにかく揺るぎないシャウト歌唱、それに乗る詩がタマラナイ!普遍!


最お目当て美里!女性ロックが少ないせいか、リハ、楽屋、ちょっとしたコメント、アーティストとの絡み等で多く出ていたため本編での登場は2曲「19歳の秘かな欲望」「My Revolution」の2曲。まだデビュー3年目とかなのに、既にスタジアムとかいっぱいやってて、慣れてるんだろうね、安定した歌唱と気迫。夜中の3時とかに、あのカラフルな衣装で圧巻のステージされたら、あの当時はどうったのか、本当凄かった。でも、せめてあと1曲欲しかった(当日は10曲くらいやったらしいから)。最後は佐野さん、当時のロックシンガーの面々の優しくも厳しい先輩って感じに見えたな。堂々たるステージ、超圧巻にも12時間超えて雨が上がってきて、フィナーレで「Someday」。何とも、凄いエンターテインメント。野外ならではの最悪だったけど、今となれば参加した人は、相当の自慢になったんじゃないかな、羨ましいもん。


ラストは映画のための主題歌が流れたけど、不要。でも、今病床の佐久間正英さんプロデュースだから、目をつぶります、何かと思いがあるのでしょう。あと、このライヴ、Epic Sony 社長だった春名源基さんの誕生日を選んで開催されたんだね、それで映画ラストで「ゴメンナサイ」って言ってたのが笑えた、映画館苦笑してた。

総合的に、同じ映像・音源が何箇所か使われているのは気になった。あと、ブツギリで感動をさせるのは要らなかったかも。客席とステージを映すバランスなんかも難しそうだけど、ここはアーティストを観たいって時にブツギリになったり。曲もブツギリ。ま、ドキュメンタリーだから仕方ないけど、ただ、150分はある映画を通すと、12時間には相当しないけど、快適な空間で最悪な状況を体感でき、生々しさ、当時の凄さを知れました。これは全部観ないと伝わらないものがあるなぁと思ってます。なので、TVとかでダイジェストで観てて、ほんの少しだけ興味出た人は勢いで行くべし!きっと、それぞれに感じる1987年が持てるはずです。


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