51KWTV29E1L__SL160_マーヴィン・ゲイ、2年振りとなるソロ15作目は、前作までの1970年代の快進撃(1971年『What's Going On』R&B1位・POP6位/1973年『Let's Get It On』R&B1位・POP2位/1976年『I Want You』R&B1位・POP4位)から大きく後退となるR&B4位・POP26位。その名も、邦題『離婚伝説』…マーヴィンは、17歳も年上であるAnna Gordy(当時のモータウン社長Berry Gordyの実妹) と1963年に結婚するも、1960年代末には関係は冷え切り、その後離婚。別の女性と再婚を果たすも1978年離婚。よって、本作はアンナへのレイクエム…とでも言えれば良いのだが、実際はアンナがベディの妹ってこともあり、モータウンはおろか、アンナのプライドもザクザクになり、慰謝料が払えない事態に。そこで制作されたのが、慰謝料返済のために創られた本作。家庭の安らぎは幻、けじめをつけるが如くの作品になっており、確かにそれではリスナーの賛否もメチャクチャだし。ただ、音は充実、その後の音楽人生のチャレンジの賜物となります。

1. Here, My Dear
アルバムタイトル曲ながら、邦題は“離婚伝説”ではなく、“ある男のひとりごと”。。。ちょっくらドゥーワップ風味、哀愁と切なさ。それを、おどけさせるような音に、堕落のような力の無いヴォーカル。疲れの果ての表現?でも実生活もそうだったんだろうね、、


2. I Met A Little Girl
邦題“愛の試金石”・・・60年代風ソウル、これも結婚生活の時期の音を再現しているようで。ドラマティックで甘酸っぱいけど、その後を知ると、なんか芯に聴きにくい
3. When Did You Stop Loving Me, When Did I Stop Loving You
邦題“涙の向こう側”・・・愛への自問自答、もうこなっちゃうとダメだね。ひけらかすような音も、なんか逆効果…。清々したようなヴォーカルは、なんか個人的にはオモロイんだけど。6分に亘り、執拗な愛の歌として、サラリと歌えてる気も


4. Anger
ファンク風、ピコピコしてて、音的には遊んでるけど、淑やかに怒りを詩に託すあたり、マーヴィン流儀
5. Is That Enough
邦題“恋鎖反応”・・・ちょっと、邦題遊びすぎてないか?8分近く、じっくり奏でるドライなバラード。後奏のフュージョンが、なんかふっきれた感を表しているようで、なんか面白い題材
6. Everybody Needs Love
邦題“愛の重さ”・・・疲れ切った感じなのか、弱々しく歌われ、でも抑揚も有り。当時こんな一般的なソウルをぶつけてくるのも生真面目過ぎかな。その割に売れた方か。。
7. Time To Get It Together
ニューソウル再来、でもちょっぴりファンキーにシャカシャカと創作ソウル。ファルセット多様で、彼の良い部分が備わった曲に感じました
8. Sparrow
サウンド片鱗は確かにマーヴィンなんだけど、途方もないようなヴォーカルの出方が、この当時ならでは。ホーンに頼ってるのも、なんか切なさ上
9. Anna's Song
正に最初の妻アンナへの慕情、邦題“別れた女(ひと)へ”・・・今更こんな歌を創ることになった経緯が経緯だけに、マーヴィンがかわいそう、こじんまり
10. When Did You Stop Loving Me, When Did I Stop Loving You (Instrumental)
3曲目のインスト言えど、タイトル連呼等一部ヴォーカルは使用されての進行。オリジナル同様の6分程の尺をとってるあたり、尺稼ぎ?
11. A Funky Space Reincarnation
唯一のシングルカットで、R&B23位・POP106位を記録。邦題、“輪廻”・・・8分超の気合、その一方で淡々と音を推し進める印象で、ちょっとシングルという位置づけには感じないなぁ。ただ、これが世にアピールする手法のトップだったとしたら、やっぱり作品自体が難解だったというのは言うまでもなく。音は当時を意識したステップ、クラップ、ゴネゴネしてて嫌いじゃないけどダラダラしてる


12. You Can Leave, But It's Going To Cost You
邦題“愚かな代償”・・・とは言え、冷めきったのなら仕方ない気も。来る新たな時代を感じさせる音使い、ただサッパリし過ぎているかも。おどけてトゥットゥルトゥットゥットゥッ〜、おどけてます
13. Falling In Love Again
ここからの2曲はセット扱い、邦題“男は夢追い人”。個人的に好きなホーン、オルガン、きれいな音使い。70年代初期の力に、今を詰め込んだような出来
14. When Did You Stop Loving Me, When Did I Stop Loving You (Reprise)
ラストはリプライズ、アルバムに必要とされるリズムなのか、これで計3トラック目。当時にして、このようなドラマ性は面白かった!

14曲・73分(当時にして2枚組LP)、アルバムを通すと巧みな流れだなぁと、しみじみ感心。素晴らしい作品です。その一方で、邦題のウンチクは軽視しても、メッセージはほんとに強烈。マーヴィンの才能と、涙ぐましい葛藤の狭間で、喜怒哀楽をうまく表して同情を得る作品。今じゃ、このコンセプトは成立しない、当時ならではの分かりやすいズブズブ物語でした。

離婚伝説
マーヴィン・ゲイ
ポリドール
1994-04-01

Here My Dear/In Our Lifetime
Marvin Gaye
Phantom Sound & Vision
2001-02-26

Here My Dear
Marvin Gaye
Euro Parrot
1993-11-08

Here My Dear
Marvin Gaye
Motown
1994-04-05