83926ca7-sアレサ・フランクリン、前作Curtis Mayfield と再び全面タッグを組んだシカゴ系アルバムから1年4ヶ月、本作は1967年のアトランティックへの移籍から数々の伝説を作ってきた14年目にして何とも最終作となり、R&B25位・POP146位と低調に終わってしまいました。アレサ自身もレーベルへのプロモ不信を感じていたようで(当時からのファンと昔メールやりとりして知ったんですが)、新たな事に挑戦しなくてはいけない状況だったのか(ヒットを望むアレサならではかも)、本作は当時ディスコを旋風していたVan McCoy が手掛けているだけでなく、録音時期は1979年1〜5月Penny Lane Studios となっているものの、ヴァンが39歳の若さで同年6月に亡くなっているので、もしかしたら遺作に近いかもしれないです。ディスコだけでなく、当時公平に評価されてたらソウルの女王の復元に近づいてたはずとも思える良質の結集!アレサの意地さえ感じる作品です。

1. Ladies Only
1stシングル、R&B33位を記録(シングル盤は1分超カット)。なんともアレサ自作、うまくピアノ伴奏のデモとかあったら興味有り!しっとりバラードで始まるストーリー展開、ストリングスとポップに奏でる落ち着いたアレサ、でも序章を抜けるとアレサが見事にダンスに染まっていき、驚きと違和感。元々Donna Summer, Diana Ross なんかは好んでいただけあって、やってみたかった曲調なのかも。ハスキーに歌い上げるヴォーカルは煌びやかさよりもソウルが充満、この辺が賛否でありつつ、自分はやっぱアレサ凄いなぁと思える部分


2. It's Gonna Get A Bit Better
Lalome Washburn 作、とにかくベースラインを下地にしたファンク調、ホーンもクールに。アレサの重ねコーラスの層の厚み、リードの信頼感・高域凄まじい!これはアルバム斬っての絶好な曲!自分はディスコ調以外なら、これを一目散に挙げます!(YouTube リンク画像にもあったヴァンとのショットも貴重!)


3. What If I Should Ever Need You
Charles H. Kipps 作、アレサの儚さ、切なさを上質に表したようなバラード。いつも以上に張り裂けるような高域も素晴らしく、祈りにも通ずるようなクールダウン


4. Honey I Need Your Love
ポップなフィーリングで、聴きやすいフレイヴァーなのが本曲。アレサ自作で、リスナーをワクワクさせてくれることも忘れないプロデュースは流石


5. I Was Made For You (with Clarence Franklin)
諸説ありますが、アレサは4人の息子がおり、クラレンスは長男でアレサ16歳の頃に生まれたようです。当時21歳の息子とのデュエット、とにかくスウィートなヴォーカルが貴重。アレサも優しく母性を持って歌われるのが印象的なバラード。後年、アレサは兄との歌唱を教会で披露しますが、やはり年季あってハスキーになってるので、若いとこういう声質を産出するんだなぁと、とにかく貴重


6. Only Star
アレサ自作、妹キャロリン含むコーラス絶好調に入ってくるんだけど、アレサを"Disco Queen!" と煽りまくり、でもディスコってここまで甲高いよりも、もっとソフトに妖艶な印象だけど、アレサはハイパー推し
7. Reasons Why
Skip Scarborough, Wanda Hutchinson, Wayne Vaughan 作、2曲目に近いクールさ突出。高域を出しつつ、じらしながら。とにかく格の違いを見せつけるファンキー満載、オルガンも活躍
8. You Brought Me Back To Life
ヴァン作1曲目、なのに優しく敷かれたバラード。哀愁も満遍なく、アトランティックのフィナーレの如く、更には自身の人生の終焉を物語る程に、アレサのファルセット的ヴォーカルの滲みは独特な奏で
9. Half A Love
2ndシングル、R&B65位を記録(シングル盤は1分半近くカット)。シングルぽくなく、なんかあっけらかんとした調子で、もうヒット云々ではなくなった感じ。ソウルぽくはあるフィーリングなんだけど、ちょっと空虚に浮き気味かも。A面からはシングル関係なくTV披露されていたようですが、B面全然・・


10. The Feeling
ヴァン作2曲目は異色なポップディスコ、今までのアレサだったら敬遠してるであろう、完全欧州寄りサウンド。ストリングスもビートも、ちょっと曰く有り過ぎ。ヴォーカルよりもサウンドが目立ち過ぎ…

10曲・43分半、黒歴史というには勿体ないスーパーヴォーカルが堪能できる作品。作家陣、プロデューサー陣も、まさかこれが落ち目だったのか、と思える面々。アレサの実力を別のベクトルから証明できるんじゃないかな、今となっては。ただし、アトランティック後期低迷5作品は未だにリイシューできてないですが、。リイシューの噂も度々持ちあがるので、その日を楽しみに。LP買っても損は無いと思うなぁ、大胆なジャケットも当時ならではだし。

※これまでのアレサ・フランクリンのレビュー・記事は、左記カテゴリーから、もしくはコチラより
※レビュー整理ページ(直近版)は…72th Birthday!! / Articles (2008-2014) を参照