51mg2df6CyL__SL160_ジーン・カーン、wiki を見る限り1995年のアルバムまでしか紹介されてなかったんだけど、、こちらは2002年リリースのデュエット集。元々はAretha Franklin "Ain't No Way" のカヴァーで知ってベストを買った経緯があって、それから歌力に驚いて本作に辿りついてます。1970年代中盤からコンスタントにR&Bヒットを放ち、1986年には"Closer Than Close" でR&B1位も獲得している実力者。ちょっと曲数が多いのでレビュー悩んでましたが、頑張って聴きます。

1. I'm Back For More (with Al Johnson)
1980年R&B26位を記録、この時点でようやく分かったんですが、新録集では無かったようで…。アル・ジョンソンの作品 Back For More に収録されていたようです。安定感ある男臭さとは別に、ジーンの強烈な高域ビブラートには悶絶、Patti LaBelle なんかにも近い絶叫


2. Lets Stay Together (with Bobby M)
1982年ボビーM Blow 収録のAl Green 大ヒットカヴァー。優しくも実力が漲る豊かな歌い上げ、じっくり聴けるバラード。Bobby Militello 演奏のみ?そこが良く分からず…
3. Keep In Touch (with Grover Washington Jr)
1987年グローヴァー・ワシントン・ジュニア Strawberry Moon 収録、アダコン的に優しく歌われ、上質な演奏にフィット
4. Star Flower (with Lonnie Liston Smith)
1991年ロニー・リストン・スミス Love Goddess 収録、ちょっとふくよかさが減ったけど、味は更にリボーンした印象、妖艶に移り行く時期に感じるなぁ
5. Love Is Beautiful (When Its Right) (with Universe)
1977年ユニヴァース Universe ft. Dexter Wansel 収録、声がだいぶ若くなるけど、艶は昔から備わってる、武器!表現がとにかく広い、息遣いも素晴らしい
6. You Might Be Surprised (with Roy Ayers)
1985年ロイ・エアーズ You Might Be Surprised 収録、二人並行で進むけど、もっさり感は薄いかな。創りもアダコンとしてうまく張り付いているようで惹きに
7. Holdin On (with Dexter Wansel)
1977年デクスター・ワンゼル What The World Is Coming To 収録、ジーンは裏方に転じているけど、個性が随所確認でき、面白く感じ取れるなぁ
8. Night Breeze (with Stanley Turrentine)
1989年スタンリー・タレンタイン LA Place 収録、ジャズの味にこそ彼女の魅力は映えるのを改めて。流れるようなサウンドに溶け込んでいきメロウ
9. Valentine Love (with Michael Henderson)
1975年R&B10位を記録、マイケル・ヘンダーソンYou Are My Starship 収録。ジーンは曲に声を添える感じ、歌のお姉さん的に正統派。対に熱いけど、そのバランスもなかなか


10. Dindi (with Norman Connors)
1975年ノーマン・コナーズSaturday Night Special 収録、探るようなサウンド・ヴォーカルは不確定要素もあってドキドキ、でもアドリブ的なソウルが宿ってて聴き応えに
11. If You Dont Know Me By Now (with The Temptations)
1982年、本曲にてようやくジーンのアルバムTrust Me から、そこにテンプスがゲスト参加って言うんだから、兼ねてから相当実力者だったに違いない!Harold Melvin & The Blue Notes カヴァー、とにかくコーラスの移ろいがタマラナイんだけど、そこにエモーショナルに歌うジーンの情念みたいなのが強く響く!


12. Dreams Of Tomorrow (with Dexter Wansel)
7曲目に続き同出処、より優しいタッチで、ジャズの美しさと勇気なんかが広がっていて素敵、ブラック要素は薄いけど
13. Mother Of The Future (with Norman Connors)
10曲目と異なり、1974年ノーマンSlew Foot 収録、ほんと双方の信頼関係は凄いな。変則にも加速なサウンドは豪快でカッコよくて、ジーンのヴォーカルは完全に音に負けてるけど、響きが興味深く
14. The Look Of Love (with Grover Washington Jr)
3曲目に続き同出処、Burt Bacharach 曲を。音は淡々としてるのに、丹精込めたような深さジワジワと。表現力いやはり度肝
15. Good Thing Goin On (with Billy Paul)
1995年ジーンLove Lessons より、衰えることなく表現豊かなヴォーカルを。ビリーは呟くようなヴォーカル、ちょっとBobby Womack なんかにも近い魅力、対照的で楽しめます
16. Lean On Me (with Nathan Heathman)
2001年ネイサン・ヒースマンRight Here, Right Now 収録、Van McCoy 作。ジーン、あれだいぶ魅力が変わったと思いきや、主軸が少ないからかな。ベテランとして強靭さは更に。実際は男性ヴォーカルの魅力もここでは強い

<Bonus>
17. Trust Me
ボートラとして1982年Al Johnson 作・ジーンの同名アルバム(唯一のMotown からのリリース)より。しなやかで信頼感あって、歌いっぷりも自然にこなし。後半、キュンキュン高音飛ばしまくり

16曲・75分半、更に1曲追加で計79分超の大ボリュームのアルバム。2曲を除いてジーンが客演した曲を寄せ集めたってのは、ファンとしては嬉しい1パッケージとして捉えられるなぁ。そして25年分、常に進化して、それぞれに面白い曲の誕生に寄与しているなぁと、感心。もっと評価されても良いR&Bシンガーと思いました。

Jean Carne
Expansion UK
2005-08-09

Collaborations
Jean Carne
Expansion
2003-02-18