41RPWYOpnGL__SL160_ジェームス・イングラム、前作から4年振りQwest/Warner Bros. からの最終作でR&B74位を記録。本作から次回作まで15年ものブランクを空けてしまうので、本作は90年代いやはや、脂の乗り切り終えた彼を聴ける重要作かな。Quincy Jones が継続してサポートしたレーベルより、層々たる布陣による作品ではありますが、ヒットには至らなかったのは残念。シングルヒットは1曲のみ。

1. Someone Like You
1stシングル、R&B34位を記録。ハスキーがかったヴォーカルが印象的、スムースなアダコン路線は若干飽和感な時期だったのかも。狂おしいような歌声は、どこかLuther Vandross ぽくもあるんだけど、ちょっと枯れた感じが優先?自分としては秋の夜長にフィットしそうで、まったり


2. Let Me Love You This Way
丁寧なスロウ、真摯に歌う情熱。綺麗に正統派に歌い上げるなぁと。彼らしい歌唱で、ディズニー映画のような神秘、輝き、強さ。。敷いて言えばベタなんだけど
3. Always You
タイトル曲、前曲のような流れにて、まるでバラードアルバム化。ここまでディープになってくると、相当な重鎮でもない限り、当時の音楽状況においてはだいぶ聴く層が限られそう…。無論評価は高そうなんだけど、ベタに流されそうというか


4. Treat Her Right
しっぽりテンポを若干アップ、それでも大分落ち着いた印象。歌はすこぶる上手いし、ツボ抑えたアダコンでミラクル街道。女性クワイアの覇気が見事にマッチ。音が若干今では古ぼけてるかも
5. A Baby's Born
Burt Bacharach 共作1曲目。だいぶ人間的な深さから入ってくるなぁと、70年代ソウル、敷いてはシカゴソウルのようにホーン多様しながら、極意持って攻めている感じで、これは聴きどころかな
6. This Is the Night
Burt Bacharach 共作2曲目。イングラムのコーラスは地と異なり柔らかで繊細で魅力。リード部は通常なんだけど、彼の色味を感じながらミディアムスロウをじっくり堪能
7. You Never Know What You Got
70年代ソウル意識、The Stylistics あたりの哀愁が詰まっててホロロン。ただ、こなしは上手いけど、新しさは見当たりにくいのが本作の弱点かな
8. Too Much for This Heart
同じような曲調が並ぶ、コンセプトアルバムのよう。ただ、新作においてこの並びは相当に歌だけの強靭さが無いとズルこけるって証明かも、ほんと曲は良いし、酔わせてくれるんだけど、これだからヒット継続って難しいよね
9. Sing for the Children
Burt Bacharach 共作3曲目。愛よりも、なんか人類愛なんかが多い気がする。。。更には昔のバカラック調のアレンジ、それが逆にほんわかしてて抑揚。でも、なんか色味にはならないのがイングラムの特徴でも…そのへんは全体的に惜しくなってしまう
10. Any Kind of Love
Carol Bayer-Sager 共作、ラストは当時のサウンドを取り入れた洗練R&B、ただ抜けの良さとまで言わずとも、ダブ的に無駄に尺伸ばしってのは気になるかな。実に7分、遊び的には良いけど、もっとさっくりした中にこの遊びは入れ込んだ方がキレ味になったかな。なんか唐突感と、なんか流れ的に賛否かも、音的には嫌いじゃないし、クインシーぽいし好きだけど

10曲・53分半、歌は思いっきり安定しているのに、なんか惜しくなってしまうのは、当時求められる音に対して貪欲さが無かったところかな。アダコンに根ざしたとしても、抑揚が薄かったがために、なんか平坦に収まっているしまっている印象。曲調や音味だけでも趣向凝らしてればだいぶ変わったのかも、あとは時代だろうね。今聴いても、ちょっと惜しい気はするので失速感は否めなかったです。

<過去レビュー>
1983年 It's Your Night
2009年 Stand (In The Light)

Always You (Reis)
James Ingram
Wounded Bird Records
2007-07-17

Always You
James Ingram
Warner Bros / Wea
1993-06-24

ジェームス・イングラム
ダブリューイーエー・ジャパン
1993-06-25