51JLNZOHDaL__SL160_テルマ・ヒューストン、モータウン移籍第1弾から2年後の1975年、Sheffield Lab からの企画共演作をリリース。さっくりした作品ながら、インストを多く含み、当時の彼女の売り方からすると、ちょっと賭けのような位置づけ。一方で、曲の注目度は高いものも多いので、リイシューは25年前っきり止ったままですが、良質に期待できると思います。

1. I've Got the Music in Me
タイトル曲、前年The Kiki Dee Band がオリジナル。その後もTina Turner & Cher だったり、"Mumbles" に混ぜこぜAretha Franklin カヴァーだったり、曲のゴージャス感が魅力。テルマの溌剌としたヴォーカルは強靭、気持ち良い位に解き放たれるような


2. Reggae Tune (Instrumental)
レゲエチューン言えど、これはリマスターのせいなのか分からないけど、モノラルで聴きたかった…。シンセも打楽器(効果音?)も高音部がピキピキ気になる・・。インストだけど、テルマのゆたりしたスキャット風コーラスは滑らかで自然体で楽しいけど
3. To Know You Is to Love You
1972年Stevie Wonder & Syreeta Wright カヴァー、清廉としつつも決意を持って進行するミディアム、ハスキー部なんて勇ましいし、ブラックアーティストとして強烈に力を感じさせてくれる、コーラスのシリアス感もタマラナイ!


4. Pressure Cooker (Instrumental)
跳躍するピアノがイーアルカンフーばりにクール、でも途中までどんな曲調かが読めないから興味倍増、ブラックシネマ風にしては想起でかすぎ、中盤からは曲としての全体像。ホーンもドラムもオルガンも豪快、ハイパーな進行。アルバムにおいてもテルマってのを忘れるくらいに格好良すぎるよ
5. Don't Misunderstand
言いすぎかもだけどBarbra Streisand のように丁寧な歌唱、幾分力強さがルーツにて混じるけど、それくらいに涼やかに品があって、うって変わった心意気にて聴けるバラード
6. Step in Time (Instrumental)
"Rock Steady" くらいにファンキーポップチューン、テルマは関係ないね此処には。アルバムを聴く上でのチューンを考えた感じで、楽しく本気でスウィング
7. Dish Rag (Instrumental)
続ファンキーに、シンセの転がりがたまらない魅力。ホーンもご機嫌、全体の音のぶつかりが自然体。一体感ナイス、ギターのテケテケまでタマラナイ、いやー、本編終わる前に嬉しさ抜群
8. Got to Get You into My Life / I've Got the Music In Me (Reprise)

The Beatles カヴァーにて、B面インスト2曲の流れを保ったままに、渦のように音を吐き出し、それに化してテルマはこれまでと違う乗せ方でヴォーカルを切り込んでいく!そしてフェードアウトして終わりと思いつつ、1曲目のリプライズをそーっと、この音の変わりようは不思議な感触、プチショーを堪能!でも最後は裏切らないゴージャス


8曲・29分、これ、やばいやばいやばい!!!!!超楽しい!!!こんな音の進行のソウルアルバムってなかなか出合いたくても出会えなかったし。テルマが主人公でありつつ、きっとテルマという素材を入れながら、ファンキー且つゴージャスな作品を作るって趣旨であれば、きっと大成功。一方で売上は全くの低迷。この落差の中で出会えて面白いトレジャーハンティング!!

<過去レビュー>
2007年 A Wonan's Touch Thelma Houston

I've Got the Music in Me
Thelma Houston
Sheffield Lab
1990-10-25