51R0vENEP1L__SL160_エイドリアナ・エヴァンス、デビュー作でR&B33位を記録。上質で当時の評価は高かったと記憶してますが、プロモやセールス的にはどうだったんだろう。日本でもジャケを変えてリリースするなど工夫はあったものの、今は過去のアーティストという印象でしょうか。この後7年作品が途絶えてしまうのですが、自分は以降も気になるシンガーの一人。まだ取り上げてなかったのですが、おそらく最も知れ渡ってると思われる作品からレビュー。

1. Love Is All Around
1stシングル、R&B65位を記録。ネオソウルを活かした作風でのデビューだけど、透き通るような声が印象的。勇ましいヴォーカルスタイルもあるけど、そのバランス感が彼女の魅力かな


2. Seein' Is Believing
2ndシングル、R&B50位を記録。音的には確かにこっちのほうがポップ性あって取っつきが良い!声も出てるし、気持ち良く踊れそう、ミディアムスウィンギング。ギターのワウっとした感じがナイスグルーヴに、コーラスとリードの声に出る違いも気持ち良し


3. Heaven
正に天国を感じさせてくれるような安らぎ、リラックス。ファルセットの高ぶりも最高にメロウ、フロウ!ほんわかした中の凛とした強さ、歌力をほとほとに感じる
4. Reality
ちょいっと派手さを落としつつも、声のインパクトは上々。後半のスキャットなんて上品で、つぶやくようなヴォーカルなど、ほんと引き出しが多い
5. Hey Brother
コーラス、リード共に気合、声の重なりを楽しんでいるよう。伸びも、演奏との融合で見事に世界観をぐいぐい推し進めるようで。男子ヴォーカル出ても、気迫に多種な声色でエイドリアナのパワーに勝るものなし
6. Trippin'
アコースティック、エモーショナルな部分に突き刺さるように、ファルセットでの訴求は成分が異なるのかな、パンチある。うららかにホーンも面白い演出効果
7. I'll Be There
更に、こちらのほうが素のアコースティック。丁寧にリリックを歌い、妖艶さなんかを聴くと、ネオソウルというよりもジャズシンガーとしての味わい
8. Love Me
音を乗せて、声の弾けも気持ち良く、90年代後半のR&Bとして今でも上質に聴ける。音にも声にも主張しすぎず、でもパンチは徐々に放たれてる―
9. Looking For Your Love
70年代のニューソウル、気持ち良く、エヴァーグリーンに広がる平和で安泰な世界。いやー、ここまでホンワカなフィールドにも沿うなんて意外
10. Swimming
水の中って感じよりも、なんか空中で泳ぐって感じかな。なんか、音がしっとりと浮き立ち、声も広がり、自由を表現しているような曲
11. Say You Won't
ふくよかに、揺らぎのヴォーカルなんてテクニシャン。ジャジーでブルージーで、でもポジティブに軽やかに。このバランス感覚が凄い、声はDes'ree みたいな感じ
12. In The Sun
涼しげな、ひんやりした感じも。でも、その太陽のコアをもとに、柔軟に展開されるようで、勇ましいし、どこまでもファルセット唱で伝う魅力は燦然と

12曲・51分、彼女のヴォーカルスタイルの幅に改めて驚かされました。自分の中では、上質なシンガー止まりで記憶の片隅に眠ってましたが、通しで聴くと彼女のソウルがジャンル分けではない、テクニックの山って感じで、決して歌い方を変えているわけじゃなく、演奏と共に世界を染めるっていうのかな。そういう意味で地味・地道だけど重宝されるべくシンガーだなぁと決定づけられるような気がします。

エイドリアナ・エヴァンス
エイドリアナ・エバンス
BMGビクター
1997-04-23

Adriana Evans
Adriana Evans
Bmg/RCA
1997-04-29