61ead6JsVsL__SL1050_アズ・イェット、デビューアルバムでR&B18位・POP60位を記録。Babyface 全面pro., 更には当時イケイケだったLaFace からのリリースということもあって、プロモーションも絶好調。実際、ヒットしたもののレーベルの突如急降下(閉鎖?)などもあって、1枚のアルバムを残して消えてしまった不毛のグループ。でも、その後2004年にインディーズリリースし、来る2016年には12年振りとなるオリジナルアルバムをリリースするなど、当時楽しんだファンには嬉しいニュースが届く中、まだ取り上げてなかった本作を。

1. Last Night
1stシングル、R&B1位・POP9位を記録。切ない音、むしろ暗い。これを当時の若者が歌うんだから、凄いデビューの仕方。正統派なヴォーカルで淡々と、軽くはないけど程よい湿り気で


2. Saved for Someone Else
流れ的には、個人的にBoyz ll Men 3rd Evolution にも近い流れ。バラード続きにて説得力。コーラスがとにかく甘さと穏やかさの中間で心地よい。超低域なんか、凄い反則技、よくもこんなチームを用意してきたなぁと、身が引き締まる。その後の甘いファルセット的ヴォーカルの流れ、絶品
3. Care for Me
涼やかに、声の伸びもどこまでも絶妙に、とにかく浸れるミディアムスロー。信頼感、定番のサビでのコーラスワークは、もうどこまでも寄り添い
4. Every Little Bit of My Heart
テンポをミディアムに、曲調がガラリと変わって、だいぶ雰囲気にエナージー。コーラスワークは乱れることなく、むしろテクニカルさを上乗せさせてくれている印象
5. Hard to Say I'm Sorry (ft. Peter Cetera)
2ndシングル、R&B20位・POP8位を記録。Chicago 名バラードのカヴァー、コーラスをかなり上下に振り乱しながら相当なテクを発揮。リードは王道ぽいけど、オリジナルとR&Bの旨みを半々に味わえるようなアカペラ傑作


6. That's All I Want
メロウに、バラードとポップの中間。ヴォーカルアレンジメントも技量というよりは聴きやすさ重視という感じで、自然に入ってくる
7. Secrets
緩やかな優しいミディアム、Shawn Stockman みたいだし、ほんとボーイズ2メンからモリスだけ除いて核が無いチームって感じの仕上がり
8. Through My Heart (The Arrow)
悲しさ溢れるバラード、秋冬の冷たさも感じるし、復活なんてないくらいに堕ちちゃってる。その表現が細部上手いなぁとシミジミ
9. I Don't Want to Be Lonely
クールダウンし、更に小さなバラード。盛り上がりよりも、低域でのグルーヴ集結、ファルセットの細い浮遊。でも後半の高らかなエモーショナルなヴォーカルは心をぐいぐい掴む、人間味
10. Sadder Than Blue
90年代らしい、ステップのあるゆったりダンサブル。アルバムの流れを変えず、しっとりと聴かせる構成は流石。ちょっと荒れてるヴォーカルなんかも憎らしく素敵
11. Inseparable Lovers
絡み合うようなヴォーカルに、ギターのうねる感じが哀愁を惹きだし、季節の移ろいみたいのを感じるなぁ。抑えた声量に、しっぽりした感じが終盤の色味にフィット
12. Time to End the Story
ラストも、まるで終わり始まりのような、心をニュートラルに飾ってくれるような曲。なんだろ、まったり染み入るんだよね。BGMにも近いくらいに

12曲・52分程。とにかくずっとリピートできるR&Bアルバムだと思います。これという押しではなく、彼らの一環としたテクニックで、凄く優しく耳を撫でてくれるというか。時に絶好調なテクニックがあったりするんだけど、無理なく自然に運んで行く、これぞ童顔氏のツボを分かったうえでの的確なプロデュースワークだなぁと。

Az Yet
Az Yet
Bmg Special Product
2004-08-03

アズ・イェット
アズ・イエット
BMGビクター
1996-11-21