81e+q0NRQmL__SL1500_渡辺美里、デビュー作から9ヶ月のスパンでリリースされた2ndで、オリコン1位・年間7位を記録。"My Revolution" が収録されたアルバム、という事で語り継がれている感じではなく、何とも2枚組・20曲に及ぶ、若干19歳が成し得た大作になっているのが注目すべきところ。ま、今の時代はCDギリギリ80分に及ぶアルバムをリリースするシンガーは珍しくないけど、ライナーノーツにも合った通り、当時は制作環境や録音技術など、今とは到底異なるわけで、相当苦労した中で、多くの才能が終結し、そして商業的にも大成功した作品として燦然と輝いてます!今回は、先日取り上げたボーナス品を除き、本編をレビューしたいと思います。何より、今となっては、小室哲哉・岡村靖幸が8曲ずつ曲提供を、そして渡辺美里自身も、デビュー作では2曲作詞をしてましたが、今回はほんと当時忙しかった中で10曲の作詞、うち1曲は作詞・作曲と、如何なく才能を発揮しています。更に20曲すべて大村雅朗編曲、うち2曲は小室氏も修行参加。一応、今回も30周年盤から聴いてみますが、格段に音は良くなってます。あと、ボートラとかはCD自体にはないので、1986年のアルバムって位置付けで堪能します。

<Disc.1 (Here)>
1. Long Night
アルバムリリース後リカットされた3rdシングル、オリコン11位を記録。デビュー作eyes ラスト曲"Bye Bye Yesterday" もこのコンビで下が、美里作詞、岡村靖幸作曲が1曲目、実に6分超の気迫作。個人的には、女尾崎豊という印象が強い、青春も強い!確か、この曲聴いて尾崎も、感化していたっていう逸話もあったよね?とにかくストーリー性、パワー、ロックを変えた1曲目


2. 天使にかまれる
美里作詞、小室哲哉作曲。何とも凄いタイトル、よく付けたよね。そして、転調が凄すぎる。不思議な感覚も埋めいてるし、どこまでも訴求し続ける曲の奥行、凄い
3. My Revolution
1stシングル、オリコン1位を記録。2度目のドラマ主題歌で、大ヒットし、大ブレイク、美里も作曲の小室哲哉も。これは、もう説明不要でしょう。20曲中3曲目で、このスコーンと突き抜けた時代を彩る青春ポップ。そして音域の広さにも打ち勝つ真っすぐな心、ズキューンですよ


4. そばにいるよ
小室哲哉作曲3連チャン。"きみに会えて" "I Wish" のような、甘酸っぱくて、子供さも残ってて、センセイが中学の時に作った3大巨塔。こういう、心を歌う朴訥さは、美里ならでは。アイドルにはできなくて、こういう歌唱のスタイルの実力派は貴重な記録
5. 素敵になりたい
2ndシングルB面。岡村靖幸作曲。もう弾けまくってる曲、80年代詰まりまくってるけど、美里ならでは歌いこなせる曲、凄い難しいメロディ
6. 19才の秘かな欲望
岡村靖幸作曲連チャン。これも音域だけじゃなく、ファルセットシャウトみたいなのもサビ前に入ったり、当時19歳の主張がしっかり汲まれてて、岡村ちゃんのコーラスも良いし、それでいてロック度も強い。岡村ちゃんも、そして2年後に美里自身もセルフカヴァーしてる、両者にとってハマリ良い曲
7. This Moment
小室哲哉作曲、とにかく突き抜けてるポップロック。サビのトドメのように響きまくる高域がポイント、いやがらせと思うくらいに疲れるほどに高域連呼
8. 君はクロール
美里作詞、大村雅朗編曲だけでなく作曲も。幻想的、アレンジもすばらしく、ちょっと地味な位置付けかもしれないけど、まさかの若手でのこの歌のこなし
9. Resistance
岡村靖幸作曲、熱烈に込める、駆け抜ける、重たい中にも響かせる歌い手のモーション、凄いどこまでもバキバキに突き破っていく
10. My Revolution (Hello Version)
この曲はアルバムならではの、次に繋ぐインタールード的な、アカペラ、クリスマスコーラスみたいな感じも。安らぎのパート、男性パートと通わせながらデュエットみたいな2分半

<Disc.2 (There)>
1. 悲しき願い(Here & There)
アルバムのサブタイトル的な意味合いを、ディスク2の1曲目の曲名サブタイトルに乗せる、そして映画でも有名な引用のタイトル。美里作詞、岡村靖幸作曲。パンチしっかり、そして詞もしっかり歌っているのは印象的、なんか豪華というか、当時の歌の旨みを凝縮してる感じ
2. みつめていたい(Restin’ In Your Room)
1stマイレボB面。美里作詞、岡村靖幸作曲2連チャン。粋なポップロック炸裂に、キュンキュンしまくりだけど、どこまでも歌のエネルギーが凄い、岡村ちゃんにも歌ってほしい曲


3. 言いだせないまま
木根尚登作曲、素敵なバラード。女の子の心情を歌ってて、青春ヒロインじゃなく、こういう可愛らしさもキュン
4. 雨よ降らないで
3rd B面。美里作詞、小室哲哉作曲。とにかくパワーが凄い、ほんと雨が降らなくなるんじゃないかと思えるほど。高域連呼も凄いし、音の柔らかさ、TM Network のコーラスも最高な上乗せ


5. Steppin’ Now
何とも初、美里作詞・作曲!ロードムービーのように、雑踏の音を入れつつ、シンプルモダンに展開する、凄い大人の仕上がり。声のムーディも凄い、後にセルフカヴァーも
6. 男の子のように
美里作詞、尾崎豊でも有名な西本明作曲!3曲目と異なるけど、壮大さを纏いつつ、深い表現が素晴らしい。可愛い歌唱もあり、でも大人さも抜群に脱皮中
7. A Happy Ending
岡村靖幸作曲、聴いて分かる、岡村ちゃんサウンド。アレンジもわかってるなぁと。ファンキーにホンキートンキーに、サビにしても詞をしっかり歌に込めてて凄いんだなぁ
8. Teenage Walk
2ndシングル、マイレボの次の曲、初のCM曲。オリコン5位を記録。アルバムもラストへと向かう中のヒーリング効果、青春織り交ぜ強めに、彼女のポップで分かりやすい名刺的な曲になれてる。小室哲哉作曲の手腕とアレンジの凄み、この曲で美里、当時一切TV出てないのに、よく売れたよね…


9. 嵐ヶ丘
一気に攻勢をかける、美里作詞、小室哲哉作曲。ライヴインパクトも凄いんだけど、14曲目に続いてTM Network をコーラスに迎え、とにかく元気玉を発するかのように、エナジーを集めてぐんぐん凄まじいところに向かっていくような戦士
10. Lovin’ you
20曲目のラスト、美里作詞、岡村靖幸作曲のタイトル曲、極上のバラード。これを、当時19と二十歳の二人が生み出したことが奇跡。ジャジーに、コーラスが素晴らしくリマスターで蘇ってる、鮮やかに。とにかくここに行き着くと、すっかりマイレボのアルバムなんかじゃなく、トータルでLovin' you になってるんだよね。おそらく権利上かもしれないけど、岡村ちゃんもいつかセルフカヴァーして作品にしたいんじゃないかな、よくライヴで歌うし


20曲・89分のボリューム、決して手の抜いたところなんて感じられない、大傑作。彼女をスターダムに押し上げ、マイレボ以上にアルバムをヒットさせる、そしてアルバムアーティストとも形容され、ライヴを中心に活動するスタンスの構築、音楽がもっともっと楽しくなっていくことを証明してくれたアーティスト。自分はこの頃まだ5‐6歳なのでリアルタイムではないですが、少し上の世代だと、アイドルとかに飽きた人たちは、ほんと聴いてたらしいしね。次はBreath 30周年盤出すなら、個人的に、美里が出てるパートの1987年の2イベントAlive Hiroshima, Beat Child 全編を収録したDVDつければ、アリって気がしてます。

<過去レビュー>
1989年 Flower bed
1992年 HELLO LOVERS
1994年 Baby Faith
2005年 M・Renaissance *Summer With You
2011年 Serendipity
2012年 美里祭り2012 WONDER 7 @日本武道館
2013年 Live Love Life at Hibiya Yaon
2014年 ここから
2015年 Ordinary Life
2015年 eyes (30th Anniversary Edition)
2016年 Lovin' you (30th Anniversary Edition) (Bonus DVD)
番外編 渡辺美里への岡村靖幸提供・参加、計23曲
番外編 渡辺美里への小室哲哉提供・参加、計20曲




Lovin’You
渡辺美里
エピックレコードジャパン
1991-07-01