51hlsXAfw3Lジョージ・マイケル、2年半振りとなるソロ4作目でPOP157位(・UK2位)を記録。カヴァー集でシングルカットは無し、カヴァーアルバムとなっており、完全にヒットを狙った感じがしないというか。自分は、多分廉価になった頃に買っておいたと思いますが、ほぼ聴いてなかったというか。アメリカでも前作はヒットしてたのに、このアクションはちょっとだけ勿体無いような気も。でも、彼が歌と対峙するに選んだアルバムを堪能してみたいと思います。

1. Brother Can You Spare A Dime
彼が20世紀で重視する歌を選んだだけあって、これは1930年のアメリカの超名曲。音域広く、彼の伸びやかな歌声と、シリアスにもゴージャスな演奏とのマッチが素晴らしく
2. Roxanne
1978年Police カヴァー、彼ならではの世界観・解釈にどっぷりハマれる!Older にもあったような、深みある噛み応え、余裕なスロウで魅了


3. You've Changed
1941年名曲、数々のシンガーによって歌い継がれてきたジャズ名曲。彼を通して、素敵な音楽を改めて知るという感じかな。リリック部よりも、上質な音に包まれる
4. My Baby Just Cares For Me
1958年ジャズスタンダード、Nina Simone ヴァージョンが有名かな。オールディーズ感ありつつも、ギターで軽快にクラシカルに、面白い懐かしいアレンジ。彼の楽しいオドケを少々
5. The First Time Ever I Saw Your Face
1972年Roberta Flack 名曲カヴァーで、2008年のLive in London でも披露された他、遺作となった2014年のSymphonica でも披露されています。アルバムのハイライトと言うべく、オリジナルの繊細でうつくしい世界を、実に儚く素敵にモノにしてます。心が奮い立つようで、温かくなるようで、彼の声の成分だったり感情の素晴らしさに、ただただ惹かれ


6. Miss Sarajevo
1995年U2 カヴァー、敢えて最近の曲。アコースティックに、語るように歌う、彼と音が同化したように淡く進行
7. I Remember You
1941年スタンダード、まるで夢の中でフワフワと浮いているような気分になるような、シャラランと、異次元の世界観
8. Secret Love
1953年スタンダード、久々のビッグバンド風、爽快な音と迫力で、彼のアグレッシヴを堪能。彼のヴォーカルの凄みが自然と溢れ、待ってましたという感じ。2分半程の急展開
9. Wild Is The Wind
1957年Johnny Mathis オリジナル。スロウにも、ディープに、意味深な解釈にて歌う様が彼らしく。世界観をより情緒的に
10. Where Or When
ラストは1937年スタンダード、緩やかに爽やかに、卒なくジェントルに歌い上げる術は健在、流石だなぁと。3分弱で終了

<Hidden>
10. It's All Right with Me (Instrumental)
10曲目の後、1分の無音を過ぎて1953年名曲スタンダードのインスト、余韻に浸らせる、かなり実験的な流れ

隠しトラックを入れて11曲・43分、今回は彼の音楽性の素晴らしさを感じつつも、クロスオーヴァーにヒットさせるような感じでは無かっただけに、コアなジョージのファンこそが喜びそうというか。地味目の曲が多かったため、彼の凄みはそこはかとなく分かっても、もうちょっと彼の先端を行く音楽を期待したかったなぁというのもあるかも。全体を通せば、彼にしか成せない質感で埋め尽くされた作品かと思います。

<過去レビュー>
1984年 Last Christmas Wham!
1987年 Faith
1990年 Listen Without Prejudice Vol. 1
1990年 Live In Europe
1993年 Five Live (EP) & Queen, with Lisa Stansfield
1996年 Jesus To A Child
1996年 Older
1999年 As with Mary J. Blige
2008年 December Song (I Dreamed of Christmas)

Songs From the Last Century
George Michael
Virgin Records Us
1999-11-17

ソングス・フロム・ザ・ラスト・センチュリー
ジョージ・マイケル
EMIミュージック・ジャパン
1999-12-06