81uPSvoHZIL__SL1425_619pkJcLTUL今から10年前、2007年に蔵出しになってソウル界において超話題になった、アレサ・フランクリンのアルバム未収録音源をこぞって集めた2枚組CD、R&B87位を記録。Atlantic 期を支えたJerry Wexler の最後の仕事になった事も泣けてくるんですが(ジェリーは2008年逝去)、アレサ監修というよりも、長らくソウル界が待ちわびてた重要な財産としてリリースが期待されていた中でのリリース、本当にこれは凄い事実だったんです。長らく取り上げなくてはと思っていたものの、曲数が多いので避けてましたが、ディスクごとに分けて取り上げることで解決させます。以前には下記こんな記事は書いてましたが、曲毎のレビューはようやくです。ディスク1は、1967〜1971年の音源を、ほぼ録音順に収録。当時、デッドストックになったアレサの音源、それが持つパワーが凄い、さすがのソウルの女王の全盛期、隠れたベストコンピレーション盤ともなる、お宝盤です!
2007年 Rare & Unreleased Recordings (Promo)
企画物 Rare & Unreleased Recordings part.2

Demo from I Never Loved A Man (The Way I Love You)
1. Studio Banter
2. I Never Loved A Man (The Way I Love You) (Demo)
12秒スタジオの掛け合いを経てl(粋なトラック収録!)、遂にアレサのアトランティックデビューシングル曲”貴方だけを愛して”が創られていくシーンを聴ける凄さ。当時の旦那Ted White が白人ミュージシャンと喧嘩して、結局完成しきらなかったらしいですが、でも、既にジャズColumbia 期での抑えてたパワーがここで爆発、もう凄いことになってます、語られてきた伝説が音源になって、もう興奮状態

3. Dr. Feelgood (Love Is A Serious Business) (Demo)
更にB面制作時の音源、アレサの名演の一つでもあるけど、演奏陣は結構アレサのグルーヴを汲みながら演奏してるのが伝う、アレサは魂を徐々にこぼすというか、一言一言に説得が強い
4. Sweet Bitter Love (Demo)
結局アトランティックLPには未収録で終わったけど、Columbia 期にはシングルになった、アレサが生涯大事にしている曲。当時、この手のバラードを歌ってなかったってのもあって、アレサは本当この曲を手にして嬉しかったよう、Van McCoy 作。後のArista 期の再ブレイク1985年作にも再録してるし、改めて染みる。このセッションでは、やり直し部なんかもあって、なんか当時の勢いで模られていく様相が、ほんと感慨深く

Aretha Arrives Outtake
5. It Was You
James Brown カヴァー、ヒットを抜けて、リラックスして歌われるよう、声はどこまでも出てるなぁ、だいぶ演奏もゆったりと、変化。録音も張り裂けるというより感情が上乗せ。King Curtis トロンボーン、Erma Franklin & Carolyn Franklin コーラスなど味もタップリ
6. The Letter
更にゆったり聴かせつつ、これがデッドストックってのが意味わからない程のクオリティ、アレサが吹き込めば曲が息づく、そんな証明。どこまでも抜け目がなく
7. So Soon
4曲目に続きVan McCoy 作、これまたデッドストックとは。アップテンポで楽しい仕上がり、アルバムに馴染まないとは思わないし、シングルになるくらいの活気があるのに


Aretha Now Outtake
8. Mr. Big
驚くは、当時の夫Tedd White とアレサの妹Carolyn Franklin 共作ということ、組み合わせ的なNG作品?当時にしては、だいぶホンワカしてる感じかな、全体仕上りとしては力持ってるんだけどなぁ

Soul '69 Outtake
9. Talk To Me, Talk To Me
セクシーに、ブルース的なセッションを深めてた時期なので、曲自体に当時の納得感。だいぶ、ゆったりしてて最高にメロウ。演奏の自由さ、コーラスのフェードアウトなど魅力色々

This Girl's In Love With You Outtake
10. The Fool On The Hill
ここからArif Mardin pro.も加わり、なんともお蔵入りになったThe Beatles カヴァー(John Lennon, Paul McCartney 作)、躍動的にLPにする目的よりも、なんか自由にスタジオで楽しんでるようにも感じる、ヴォーカルの轟きは驚く燦然

Single B-Side
11. Pledging My Love / The Clock
This Girl's In Love With You 1stシングル"Share Your Love With Me" B面で、当時にしては珍しいアルバム未収録音源。ただし、復刻が難しかったのか、今回のリイシューでもかなりのプチ音が入ってます。Johnny Ace メドレー、粋な図らない。境目がない感じで、アレサ解釈で相当にずっぽり深入りな仕上がり

Spirit In The Dark Outtake
12. You're Taking Another Man's Place
1986年Atlantic Blues : Vocalist なるコンピで蔵出し済でしたが、今回改めて収録。Isaac Hayes, David Porter 作、じっくり奏でていく、巧妙な展開、アレサの歌唱もだいぶディープになってきました

This Girl's In Love With You, Spirit In The Dark Outtake
13. You Keep Me Hangin' On
ここからの2曲は、敢えてどちらのアルバムに収録するとか決めきってない時期だったんだろうか。Diana Ross & The Supremes カヴァー、アレサはこの45年後の2014年カヴァー作で正式にリリースしたことも話題になりました。オリジナルを踏襲しアレンジしまくり、なんだろ、かなりかっ飛ばしたグルーヴィ、でも賛否あったんだろうね、音は普通にダイアナ継投に近く


14. I'm Trying To Overcome
意外なシンミリ、だいぶ斬新に聴ける、なんかポッカリ心に穴が開いたような、でも前を見て進む決意も、しっぽり感じる、ミステリアスさがあるんだよなぁ

Single B-Side, Spirit In The Dark Outtake
15. My Way
1971年Top Star Festival なるコンピに提供、2006年Atlantic Unearthed : Soul Sister でリイシュー、今回改めて収録されたFrank Sinatra カヴァー、これはデッドストックでもなく、アレサの神髄が見える素晴らしい名演


Young, Gifted and Black Outtake
16. My Cup Runneth Over
The Sweet Inspirations のコーラスが印象的、Tom Jones, Harvey Schmidt 作、デッドストックのままの音源ではあったけど、アレサは結構2000年以降ライヴで歌ってるんですよね。更に、自分は昔ファンサイトをやってた時、海外の肩にこの曲の別ヴァージョン(スタジオ録音)聴かせてもらいました、その時思いました、謎が多い曲だなぁと


Single A-Side Outtake
17. You're All I Need To Get By (Outtake 1)
1968年Marvin Gaye & Tammi Terrell カヴァー。一旦NGというか、音を確かめて途中まで進む50秒
18. You're All I Need To Get By (Outtake 2)
シングルオンリー曲として、だいぶ形が出来てきてます、優しいタッチで進行。まだまだ、探ってるなぁという感じかな

Single B-Side
19. Lean On Me
本ディスク最後は、シングルオンリー"Spanish Harlem" B面、同じくアルバム未収録。Joe Cobb, Van McCoy 作、Vivian Reed オリジナルも、アレサヴァージョンが有名。後にMelba Moore がカヴァーし大ヒット。ゴスペルフィーリングたっぷり、聴き応え最高。B面ながら、曇りすぎてない音質にて復活

ディスク1は、19曲(実質18曲・裏ジャケ表記も1曲目を割愛して18曲と書いてある)・66分半のボリューム。アレサのパワーに圧巻、これはソウルファンは聞き逃し禁止。とにかく、重要な歴史が詰まってます。アルバムとして統一感ではなく、時系列でアレサが歌をつむんできた、そのままの模様がパッケージ。ジェリーの最後の仕事に喝采です。


レア&アンリリースド・レコーディングス
アレサ・フランクリン
WARNER MUSIC JAPAN(WP)(M)
2007-11-21