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ルー・ロウルズ、生涯50枚ものアルバムをリリースした重鎮。90年代の幕開けは前作同様Blu Note から1年振りとなる通算39作目のオリジナル、最後のチャートイン作品でR&B92位を記録。個人的には2003年往年ソウルスターのライヴ盤で知って、それから初めて買ったルーのCDだったんだけど、70年代が全盛と知ってそっちばっかに惹かれてて、今になってようやく丸々聴く感じです。

1. It's Supposed To Be Fun
タイトル曲、1stシングルB面。Narada Michael Walden 共作・pro. 参加。でも最新サウンドってよりも、彼の奥行を広げた、ほのぼのしたミディアムポップ、大人の色気と余裕たっぷりのビートで、うっとりするというか、なんだか安心感


2. Don't Let Me Be Misunderstood
1964年Nina Simone カヴァー。邦題、悲しき願い。アルバム前半の多くに参加するRichard Tee のホーンも印象的に。ソウルの再来というか、重きメッセージ、実にストーリー感を持った解釈で歌われ、傷が染みるように心に突き刺さる


3. All Around The World
Titus Turner 有名曲、抑揚たっぷりに、愉快なジャズとて、楽しげに。一言一言のリフの庄が、ベテラン技、聴き心地
4. Good Morning Blues
Billy Vera カヴァー1曲目、気合の入ったスロウ。彼はこんなに説得高い抑揚だっけ。レーベル変って、この頃の彼は妙に味が良い
5. Moonglows
Billy Vera カヴァー2曲目、雰囲気のメロウさが和む。あとは彼らしい人間味ある刻みだったり、後味が、演歌ソウル風で好きだなぁ
6. Any Day Now
Burt Bacharach カヴァー、意表を突くポップアレンジに。スウィング感を持って、オルガンなんかはゴスペル臭さもだしたり、でも明らかに進化しているルーの魅力


7. This Bitter Earth
Clyde Otis 作・Dinah Washington カヴァー、リラックスした全体に、声も演奏も、実に深入りして没頭していく感じで、ただただ余韻に浸れる
8. If You Gotta Make A Fool Of Somebody
Rudy Clark カヴァー、曲から捉える躍動が見事で、彼ならではの上昇気流なポップに仕上がってるようで好感
9. One More Time
5曲目から再び、Billy Vera カヴァー3曲目。実に、ジャズというか、ポップの王道バラードの如く歌い上げるバラード。彼はこういう、紡ぐ感じ・積み上げる感じは上手いなぁと
10. You're The One
なんともギターCornell Dupree 参加!ソロパートが味があって、嬉しくなっちゃう。The O'Jays カヴァーで、幾分選曲の中では新しめに、でもじっくりクラシカルに演じる感じで溶け込み
11. I Wonder Where Our Love Has Gone
Buddy Johnson カヴァー。邦題、愛はどこへ行った。かなり低域にじっくり響かせるような妖艶なスロウ
12. But I Do (I Don't Know Why)
Clarence "Frogman" Henry カヴァー、そして往年のサックス奏者Hank Crawford 参加と来たもんだ!粒のように、語句をしっかり噛み締めて、曲の存在感もアップ
13. Good Night My Love
Jesse Belvin カヴァー、アルバム終盤に癒しを与えてくれるような、さりげないような歌いっぷりが細やかに気持ちよい
14. The Last Night Of The World
Miss Saigon で有名、ラストまでほんと上質に歌い繰り広げてくれたなぁと。前々曲に続きHank Crawford 参加だし!贅沢な気分でアルバムを聴き惚れるミディアムスロー

<Bonus>
15. Love Me Tender
日本だけは1曲目をタイトルにせず、当時Honda CM曲に彼が採用されてたので(日本でも人気があった証明)、これをタイトル曲にアルバムもリリース、シングルもA面扱いでリリース。彼も、よくOKしたよね…。渋い、真っすぐ堂々としたElvis Presley カヴァー


14曲・55分、国内ボートラ追加で58分。1曲目を除き、全編カヴァーっていうのが、案外たまらない戦略でした。ボートラに至るまで、彼の器の大きさ、そして歌い尽くしてきたからこそのブルーノートレーベルでの相性の良さ。今回、特に演者も凄いし、選曲も上手く料理してて、これは傑作だなぁと、聴き続けたい名盤と感じました。

<過去レビュー>
1977年 All Things In Time
1979年 Let Me Be Good to You

It's Supposed to Be Fun
Lou Rawls
Blue Note Records
1990-09-13

ラブ・ミー・テンダー
ルー・ロウルズ
EMIミュージック・ジャパン
1990-11-21