51jULKBKSoLルーサー・ヴァンドロス、1年4ヶ月ぶり・9作目のオリジナルアルバムは、全編カヴァー。R&B2位・POP5位、UKでは初の1位も獲得。本作後にはクリスマス作、ベスト2枚など、彼の活動において結構集約されてきた時期。評価も高く、第37回Best R&B Album ノミネート(受賞は無しだけど、3曲で別途ノミネート)。このアルバムを引っ提げて開催されたUKでのライヴDVD Always and Forever - An Evening of Songs (Live at Royal Albert Hall) は今でも本当に感動の渦。今回はまだ取り上げてなかったってのも意外だったんだけど、ルーサーのピュアに、ずば抜けた実力、「歌」を痛感できる渾身のアルバムを!

1. Love The One You're With
3rdシングル、R&B28位・POP95位を記録。Stephen Stills オリジナルだけど、絶対にAretha Franklin "Live at Fillmore West" に感化されての録音。コーラス自体がゴスペル仕立て、イントロからゾクゾクの展開。でも基本はポップさも取り込んで、リスナーの層を広げることに躍起。アルバムヴァージョンは後半やや尺長め。Best Male Pop Vocal Performance グラミー賞ノミネート


2. Killing Me Softly
Lori Lieberman オリジナルだけど、これはRoberta Flack カヴァーという感じでしょう。彼が子供の頃に聴いてたブラック系女性シンガーへの魅了が大きく。凄く、心が冷える感じで、かなり質感も素晴らしいバラード。ロバータとは異なる、新たな素敵さに溢れてます
3. Endless Love (with Mariah Carey)
1stシングル、R&B7位・POP2位を記録。Diana Ross & Lionel Richie カヴァー。デュエット相手は、当時はまだ純白が似合ったマライア。当時、日本のTVインタビューにも出演していたようで(YouTube より)。オリジナルがソウル要素あったとしたら、こちらはポップさが強いかな。個人的にはライヴ音源収録の輸入盤も、両者のソロヴァージョンを収録した国内盤も重宝。Best Pop Collaboration with Vocals グラミー賞ノミネート


4. Evergreen
Barbra Streisand カヴァー、完全に黒人ファン向けというよりも、ポップフィールドに彼のヴォーカルをン轟かすように。王道スロウ、そーっと歌う美しさ、リリックを噛み締めながら、涼しく声が抜けていきます
5. Reflections
Diana Ross & the Supremes カヴァー、ダイアナ関連2曲目。コーラスの厚みに感化され、ルーサーのヴォーカルはアイドルポップではなく、新鮮な魅力に変わったゆったりクラシカルなソウルポップに
6. Hello
日本のみシングルカット。Lionel Richie カヴァー2曲目。神妙なアレンジはオリジナル同様なんだけど、もう、とろけるほどに、しっとり柔らかく歌われてて、こっちまで溶けてしまいそう。でも、シリアスさも含まれ、ストリングスと共にストーリーを広げ、深い味わい


7. Ain't No Stoppin' Us Now
4thシングル。McFadden & Whitehead カヴァー。アルバム中盤にて、軽快に。コーラスとの楽しさも伝うし、アドリブで高域もぐんぐん飛び出すし、曲の愉しさ・喜びみたいなのが半端なく放出


8. Always And Forever
2ndシングル、R&B16位・POP58位を記録。Heatwave カヴァー、アルバムの中で灯のように、地味にも安定的に彩ってくれるバラード。当時のライヴDVDタイトルにもなってる程、麗しさ秀逸。Best Male R&B Vocal Performance グラミー賞ノミネート


9. Going In Circles
3rdシングルC/W。The Friends of Distinction カヴァー、だいぶどっしりと構えてるんだけど、控えめと思ったら後半の彼の力は半端なく


10. Since You've Been Gone
Aretha Franklin カヴァー2曲目。敢えてクラシカルなR&B風に、ちょっとアレンジも余裕に引いて奏でるように、スピード感を削ぎ、興味深いスロウに
11. All The Woman I Need
Linda Clifford オリジナル、Whitney Houston を意識されてのカヴァーでもありそう。かなり力量が求められ、それも男性によるカヴァーなので、彼も向かうべく覇気が最高潮。悲しげでもありつつ、気迫が違う
12. What The World Needs Now
Jackie DeShannon オリジナル、前曲の叔母 Dionne Warwick 意識でしょう。ゆったりしてて、息抜きな印象かな、でも美世界は怠らず、彼の息遣いに驚かされる
13. The Impossible Dream
Richard Kiley オリジナル、The Temptations からの引用じゃないかな。終着、しっとりとした哀愁みたいなものが溢れつつつつも、彼の突き上げるような終盤の歌い上げは涙


13曲・62分弱。正にグレイテストなカヴァーアルバムだと思います。歌に惚れ惚れしたい人向けかな。R&Bとかの概念ではなく、素敵な歌がこんな感じで蘇ること自体、オリジナルアーティストにとっても嬉しいんじゃないかな。時代に合わせたのではなく、歌と向き合ったからこその、「歌手とはこうあるべきだ!」と歌って示すが如く、ほんと改めて音楽の素晴らしさと向き合える作品だと思います。

<過去レビュー>
1976年 Luther *group Luther
1977年 This Close To You *group Luther
1979年 New York City Band *New York City Band with Luther Vandross
1980年 Never Too Much
1982年 Forever, For Always, For Love
1985年 The Night I Fell In Love
1986年 Give Me The Reason
1988年 Any Love
1989年 Live at Webley DVD
1991年 Power of Love
1991年 The Rush
1991年 The Best Remixes
1991年 May Christmas Bring You Hapiness
1993年 Never Let Me Go
1993年 Heaven Knows
1994年 Endless Love with Mariah Carey
1994年 Always and Forever - An Evening of Songs (Live at Royal Albert Hall)
1995年 The Best Thing In Life Are Free Janet Jackson with BBD & Ralph Tresvant
1995年 Ain't No Stoppin' Us Now
1995年 Greates HIts 1981-1995
1995年 This Is Christmas
1996年 Your Secret Love (Remixes)
1996年 Your Secret Love
1996年 I Can Make It better
1997年 One Night With You : The Best of Love
1997年 Love Don't Love You Anymore
1998年 I Know
1998年 I Know (Remixes)
2001年 Luther Vandross
2001年 Take You Out (Remixes)
2001年 Can Heaven Wait (Remixes)
2001年 Home For Christmas
2002年 I'd Rather
2003年 Dance with My Father
2005年 So Amazing: All Star Tribute Luther Vandross *V.A.
2006年 Forever for Always for Luther vol.2 *V.A.
2006年 Shine
2006年 Ultimate Luther Vandross
2007年 Love Luther
2008年 All The Hits DVD
2010年 Essential Mixes
2012年 Hidden Gems
2012年 The Classic Christmas Albums
番外編 Instrumentals (1981-2007)

ソングス
ルーサー・ヴァンドロス
エピックレコードジャパン
1994-10-06

Songs
Luther Vandross
Sony
1994-09-20

Songs
Luther Vandross
Sbme Special Mkts.
1994-09-20

Songs / Your Secret Love (Slim)
Luther Vandross
Sony Bmg Europe
2008-06-24