マーヴィンが1971年『What’s Going On』の大ヒットを記録する前…彼は、ホント正統派のソウルシンガーだった。ここで聴けるマーヴィンの歌声は、優しさに包まれていたり、ファルセットなどの技法を駆使するのではなく、荒削りなスタイル。当時のソウルミュージックに求められていた力強い歌唱法が、彼のスタイルに繋がっていたのであろう。本作は、前々作『How Sweet It Is To Be Loved By You』での成功を受け、企画盤『A Tribute to the Great Nat "King" Cole』を挟み、翌年1966年5月にリリースされた(R&B8位・POP118位)。主に、1965年の春以降にリリースされたシングルが多くを占めている(アルバム発売後にも、数曲がシングルカット)。

例えば、1曲目「I'll Be Doggone」は、彼にとって初めてのR&B1位となり、ミリオンも達成。ライター兼プロデューサーのSmokey Robinson色に染まっているのが功を成したか。また、打楽器の音が際立つ軽快な6曲目「Ain't That Peculiar」では2曲目となるR&B1位を獲得。前述の曲同様にPOP8位まで上昇した。さらに、5曲目「One More Heartache」はR&B4位、2曲目「Little Darling, I Need You」はR&B10位、3曲目「Take This Heart of Mine」は66年夏にR&B16位、9曲目「Your Unchanging Love」は67年夏にR&B7位。6曲のR&Bヒットシングルを収録している。

また、カヴァーが多いのも聴きどころ。7曲目は、Aretha FranklinカヴァーしたWillie Nelsonの「Night Life」。10曲目「You're The One For Me」はStevie Wonder のカヴァー。12曲目「One For My Baby」は、スタンダード曲のカヴァー。A面とB面で趣向が変わるが、それぞれに味があって、ソウルシンガーとしての力量が詰まったアルバムと断言できる。

1 ムーズ・オブ・マービン