この曲が収録されたアルバム『What You See Is What You Sweat』は、アレサのキャリアにおいても、最も最低位を記録したアルバム。このアルバムの前作『Through The Storm』が、アルバムコンセプトを度外視した中途半端なデュエットアルバムだっただけあって、実際は1986年のアルバム『Aretha』から5年振りの完全オリジナルアルバムと断言できるはずだったんです。だけど、チャート的には大きく外してしまい、以来リイシューなどは一度もされてないアルバムになってしまっているんです。

でも、アトランティック期の最終アルバム 且つ当時の最低位アルバムでもあった1979年『La Diva』と異なり、駄作のないアルバムとも捉えられるはず。だからこそ、今作の3年後にリリースされた『Greatest Hits 1980-1994』には既存13曲の収録のうち、「Ever Changing Times」「I Dreamed A Dream」「Doctor's Orders」3曲が『What You See Is What You Sweat』からの抜粋されていたのも記憶に新しいところ。きっとアレサにとっては、チャートは外しちゃったけど、良い曲をしっかり残せたという点では満足していると解釈できるはず!

今回取り上げるのは、その3曲に漏れてしまった「You Can't Take Me For Granted」。オリジナルアルバムにおいては8曲目、アレサ自身のペンによるもので、アレサがピアノを弾きながら、優しく歌い上げる姿が想像できる。本当だったら、同じくアレサ自作で、ゴスペル色・ヴォーカルも力強い9曲目「What Did You Give」のほうが取り上げられるべきかもしれないけど…「You Can't Take Me For Granted」のほうが、今までに無かったほどの繊細さが溢れていて味わい深いんです。

また、この曲はシングルカットされなかったものの、「Everyday People」「Everchanging Times」というシングルのカップリングに採用されているのも注目すべき点。同じ曲が、同じ時期に2度B面曲。これは、きっと何かがあるはず!!噂によると、この曲のシングルヴァージョンというのも用意されているらしく、アレサがこの曲を微妙な扱いにしていた背景を考えると、アレサの微妙なアリスタ期が面白くなってくると思います(マニアックですけど)。

ホワット・ユー・スウェット


What You See Is What You Sweat


ジャンピン・ジャック・フラッシュ(紙ジャケット仕様)


愛の嵐(紙ジャケット仕様)


グレイテスト・ヒッツ(1980-1994)