アレサは共演を拒み、ホイットニーはTOP40をも逃した…微妙なディーヴァ対決

Aretha Franklin & Whitney Houston”…略して“Aretha & Whintey”名義で発表されたシングル。曲名は非常に長ったらしいので、邦題は「ネヴァー・ゴナ・ビー・ユア・マン 」と書き変えられてしまっています。男の奪い合い、執念??僕にはよく分からない“ネヴァネヴァ”した世界観が繰り広げられた詩は、Diane Warren が担当。プロデュースは、アレサにとってもホイットニーにとっても80年代後半に絶大な信頼を寄せていたNarada Michael Walden

当時、Arista の社長であるClive Davis がアレサにホイットニーとの共演話を持ちかけたところ「なぜ、あんな小娘と?」みたいな発言をしたらしい…(怖っ)。でも、なんとかアレサを説得して、別々のスタジオでレコーディングされ、なんとかリリースへ。おそらく、ホイットニーが“7曲連続、全米1位”とかっていう勢いに乗っていた時期にレコーディングされたんだと思いますが、この曲は全米41位・R&B5位。ホイットニーは、これまで1曲も全米TOP10さえ外したことがなかったのに、ここに来てガクンとこけてしまったのです。アレサは近年のデュエットベストにこの曲の収録を採用したものの、ホイットニーは今まで一度もこの曲をベストやコンピなどに入れてあげたことはありません(厳密に言うと、1995年の大ヒットシングル『Exhale (Shoop, Shoop)』の隅には収録されてたことはありましたが)。

きっと、当時のホイットニーはクライヴに従うしかなかったのかもしれませんが、ここまで大物のデュエットが泣かず飛ばずの結果になってしまったかは、きっとプロモーションに問題があったのだと思います。1986年『Aretha』以来3年振りのオリジナルアルバム『Through The Storm (邦題、愛の嵐)』からの2nd シングルとしてカットされたこの曲。1st シングル「Through The Storm」はElton John との共演だったもののPV は作成されず、全米13位。結構頑張った方だとは思うものの、なんか力が入ってない気がするんです。続く、このホイットニーとの共演曲はPVは作成されたものの、アレサの出演がほとんど無く、さらにリミックス・ヴァージョンでの製作になっているんです。こんなところから考えても、本当にヤル気を感じません。もちろん、二人が顔を合わせてTV出演などもすることは一切なし。オリジナルアルバム自体も、デュエット集なのか良く分からない出来で、微妙過ぎ。この頃のアレサは次々と兄妹を亡くし、精彩を欠いていたころ。色々、問題があったのかもしれないっすね。曲自体も、当時の音は取り入れているものの、二人のヴォーカルの持ち味は感じにくく、なんか鼓動みたいのは届いてこない印象。だからこそ、面白く聴き手に面白さを届かせられなかったのが敗因なのかなぁと分析せてみたりして。

通常ヴァージョンは5分半に及ぶ、アドリブに溢れた楽曲。エディット(シングルヴァージョン)では、後半の二人の掛け合いが大幅にカット。2007年にリリースされたデュエットアルバムでは、最新エディットが施され、アドリブを追加しながらも、ちょっと音に薬味が付いたっていう感じ。また、当時は色々なリミックスが発表されていて、PVにも採用された「(Hip Hop) Single Remix」をはじめ「Hip Hop Remix」「Extended Remix」。これらには、通常ヴァージョンにはないホイットニーのアドリブが追加された面白いもの。さらにはアナログなどでは「New Jack Swing Dub Mix」「After Hours Club Mix」「1989 Vogue Dub Mix」など、様々なヴァージョンが楽しめます。

実は、オリジナルヴァージョンは重宝できるような印象はないんですが、新旧ディーヴァ対決は忘れるには勿体ない気がするんです。ECOの時代ですし(爆)。今後、彼女たちが共演するようなことは無いと思いますが、もし実現するのであれば、是非とも壮大なバラードで一緒になってほしいなぁと願っています。

愛の嵐(紙ジャケット仕様)


Jewels in the Crown: All Star Duets with the Queen


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