SOUL FOOD, SOUL LIFE

【ほぼ毎日“R&B/SOUL”のCD全曲レビュー】Aretha Franklin の来日祈願と、YO-SUKE の日常備忘録も

* INDEX - U to Z

Will Downing / Christmas, Love And You (2004)

71l4-DnvpiL__SL1058_ウィル・ダウニング、1998年のデビューから16年、11作目にして初のクリスマス作でR&B40位・Jazz4位・Holiday37位を記録。自分は渋い位置にいる底力のR&Bシンガーとして好きなんですが、最近取り上げたMaysa のクリスマス作にも参加してたりして、結構気になるシンガーというか、ここというところでツボを押してくれるシンガーという印象。

1. The Little Drummer Boy
じわじわ響かせる低域は、個人的にBeBe Winans にも近いドスコイ根性を感じるんだよね。じわじわと伝う、神妙にも、全体の音の盛り上がりは素晴らしい仕上がり。可愛らしい音も入ったり、結構クリスマスを面白くしてくれるような印象。ちょっとライオン・キング入ったり、オリエンタル風味なのも楽しめる要素


2. Christmas, Love, And You
タイトル曲、絶えず低域にてメランコリーな心地。馴染みよいバラード。ここまで個性に軸があるとシチュエーションによって選びたくなる曲群


3. The First Noel
ヴォーカルアレンジ利いてるんだけど、彼冥利で、最高にメロウ、静かなグルーヴィ。女性コーラスも加わって輪郭鮮明に、大人な熱さ
4. Christmas Time Is Here
壮大なんだけど、彼の落ち着きをメインとして、凄く美しい世界観にて留まってるのが味。コーラスも幻想的で、サックスもキレがあって上品で、全体で気持ちよくなれる。終盤"Jingle Bell" 入れたり、遊びも
5. White Christmas
比較的王道に、渋さ発揮。石原裕次郎ワイングラス片手に、って感じかな。セクシーで、アンニュイで、でもエロじゃなくて、なんか大人ジェントルさが凝縮されてる感じなんだよね
6. All I Want For Christmas Is You
ウィル書き下ろし、Mariah Carey とは同名異曲。これまでで最もハッピーなミディアム、パーティ感も。オルガンも、全体リズムも


7. Love On Christmas Morning
比較的、涼しげに、Luther Vandross ばりに爽やかに歌ってるのが印象的。若さもうまく出しつつ、低域はルーサーで五分に感じるほどの鳴らし
8. Have Yourself A Merry Little Christmas
バラードというより、リラックスした感じで心地最高。ジャズを強みとするだけあって、演奏の択び方も、声の使い方も上手いなぁと
9. Christmas Time After Time
終盤、大切な特別な時間を、じっくり歌う。声の鼓動もすばらしい、リリックの択び方まで秀逸で。サビのコーラスとの絶妙な重ね、ほんと極上スロウ
10. The Christmas Song
ラストは、低域に根ざしまくったスロウカヴァーで。上質なひと時、とにかく安定に駆け抜けて辿り着いたスタンダード

10曲・43分、彼はかなり勝負に出た作品と感じました。ここまで低域でアピールしまくるのはBarry White くらい?それもディープって部類じゃなく、正統派セクシーに、場を豊かに、R&Bもジャズも飲み込む美しさで奏でる。いやー、貴重な作品です。日本では認知低めのシンガーだけど、こういうのが評価されないと、ほんと音楽って、本望じゃない気がしてます。

<過去レビュー>
1997年 Invitation Only
2009年 Classique

Christmas Love & You
Will Downing
Grp Records
2004-11-09

クリスマス、ラヴ・アンド・ユー
ウィル・ダウニング
ユニバーサル ミュージック クラシック
2004-11-03

渡辺美里 / Lovin' you (1986)

81e+q0NRQmL__SL1500_渡辺美里、デビュー作から9ヶ月のスパンでリリースされた2ndで、オリコン1位・年間7位を記録。"My Revolution" が収録されたアルバム、という事で語り継がれている感じではなく、何とも2枚組・20曲に及ぶ、若干19歳が成し得た大作になっているのが注目すべきところ。ま、今の時代はCDギリギリ80分に及ぶアルバムをリリースするシンガーは珍しくないけど、ライナーノーツにも合った通り、当時は制作環境や録音技術など、今とは到底異なるわけで、相当苦労した中で、多くの才能が終結し、そして商業的にも大成功した作品として燦然と輝いてます!今回は、先日取り上げたボーナス品を除き、本編をレビューしたいと思います。何より、今となっては、小室哲哉・岡村靖幸が8曲ずつ曲提供を、そして渡辺美里自身も、デビュー作では2曲作詞をしてましたが、今回はほんと当時忙しかった中で10曲の作詞、うち1曲は作詞・作曲と、如何なく才能を発揮しています。更に20曲すべて大村雅朗編曲、うち2曲は小室氏も修行参加。一応、今回も30周年盤から聴いてみますが、格段に音は良くなってます。あと、ボートラとかはCD自体にはないので、1986年のアルバムって位置付けで堪能します。

<Disc.1 (Here)>
1. Long Night
アルバムリリース後リカットされた3rdシングル、オリコン11位を記録。デビュー作eyes ラスト曲"Bye Bye Yesterday" もこのコンビで下が、美里作詞、岡村靖幸作曲が1曲目、実に6分超の気迫作。個人的には、女尾崎豊という印象が強い、青春も強い!確か、この曲聴いて尾崎も、感化していたっていう逸話もあったよね?とにかくストーリー性、パワー、ロックを変えた1曲目


2. 天使にかまれる
美里作詞、小室哲哉作曲。何とも凄いタイトル、よく付けたよね。そして、転調が凄すぎる。不思議な感覚も埋めいてるし、どこまでも訴求し続ける曲の奥行、凄い
3. My Revolution
1stシングル、オリコン1位を記録。2度目のドラマ主題歌で、大ヒットし、大ブレイク、美里も作曲の小室哲哉も。これは、もう説明不要でしょう。20曲中3曲目で、このスコーンと突き抜けた時代を彩る青春ポップ。そして音域の広さにも打ち勝つ真っすぐな心、ズキューンですよ


4. そばにいるよ
小室哲哉作曲3連チャン。"きみに会えて" "I Wish" のような、甘酸っぱくて、子供さも残ってて、センセイが中学の時に作った3大巨塔。こういう、心を歌う朴訥さは、美里ならでは。アイドルにはできなくて、こういう歌唱のスタイルの実力派は貴重な記録
5. 素敵になりたい
2ndシングルB面。岡村靖幸作曲。もう弾けまくってる曲、80年代詰まりまくってるけど、美里ならでは歌いこなせる曲、凄い難しいメロディ
6. 19才の秘かな欲望
岡村靖幸作曲連チャン。これも音域だけじゃなく、ファルセットシャウトみたいなのもサビ前に入ったり、当時19歳の主張がしっかり汲まれてて、岡村ちゃんのコーラスも良いし、それでいてロック度も強い。岡村ちゃんも、そして2年後に美里自身もセルフカヴァーしてる、両者にとってハマリ良い曲
7. This Moment
小室哲哉作曲、とにかく突き抜けてるポップロック。サビのトドメのように響きまくる高域がポイント、いやがらせと思うくらいに疲れるほどに高域連呼
8. 君はクロール
美里作詞、大村雅朗編曲だけでなく作曲も。幻想的、アレンジもすばらしく、ちょっと地味な位置付けかもしれないけど、まさかの若手でのこの歌のこなし
9. Resistance
岡村靖幸作曲、熱烈に込める、駆け抜ける、重たい中にも響かせる歌い手のモーション、凄いどこまでもバキバキに突き破っていく
10. My Revolution (Hello Version)
この曲はアルバムならではの、次に繋ぐインタールード的な、アカペラ、クリスマスコーラスみたいな感じも。安らぎのパート、男性パートと通わせながらデュエットみたいな2分半

<Disc.2 (There)>
1. 悲しき願い(Here & There)
アルバムのサブタイトル的な意味合いを、ディスク2の1曲目の曲名サブタイトルに乗せる、そして映画でも有名な引用のタイトル。美里作詞、岡村靖幸作曲。パンチしっかり、そして詞もしっかり歌っているのは印象的、なんか豪華というか、当時の歌の旨みを凝縮してる感じ
2. みつめていたい(Restin’ In Your Room)
1stマイレボB面。美里作詞、岡村靖幸作曲2連チャン。粋なポップロック炸裂に、キュンキュンしまくりだけど、どこまでも歌のエネルギーが凄い、岡村ちゃんにも歌ってほしい曲


3. 言いだせないまま
木根尚登作曲、素敵なバラード。女の子の心情を歌ってて、青春ヒロインじゃなく、こういう可愛らしさもキュン
4. 雨よ降らないで
3rd B面。美里作詞、小室哲哉作曲。とにかくパワーが凄い、ほんと雨が降らなくなるんじゃないかと思えるほど。高域連呼も凄いし、音の柔らかさ、TM Network のコーラスも最高な上乗せ


5. Steppin’ Now
何とも初、美里作詞・作曲!ロードムービーのように、雑踏の音を入れつつ、シンプルモダンに展開する、凄い大人の仕上がり。声のムーディも凄い、後にセルフカヴァーも
6. 男の子のように
美里作詞、尾崎豊でも有名な西本明作曲!3曲目と異なるけど、壮大さを纏いつつ、深い表現が素晴らしい。可愛い歌唱もあり、でも大人さも抜群に脱皮中
7. A Happy Ending
岡村靖幸作曲、聴いて分かる、岡村ちゃんサウンド。アレンジもわかってるなぁと。ファンキーにホンキートンキーに、サビにしても詞をしっかり歌に込めてて凄いんだなぁ
8. Teenage Walk
2ndシングル、マイレボの次の曲、初のCM曲。オリコン5位を記録。アルバムもラストへと向かう中のヒーリング効果、青春織り交ぜ強めに、彼女のポップで分かりやすい名刺的な曲になれてる。小室哲哉作曲の手腕とアレンジの凄み、この曲で美里、当時一切TV出てないのに、よく売れたよね…


9. 嵐ヶ丘
一気に攻勢をかける、美里作詞、小室哲哉作曲。ライヴインパクトも凄いんだけど、14曲目に続いてTM Network をコーラスに迎え、とにかく元気玉を発するかのように、エナジーを集めてぐんぐん凄まじいところに向かっていくような戦士
10. Lovin’ you
20曲目のラスト、美里作詞、岡村靖幸作曲のタイトル曲、極上のバラード。これを、当時19と二十歳の二人が生み出したことが奇跡。ジャジーに、コーラスが素晴らしくリマスターで蘇ってる、鮮やかに。とにかくここに行き着くと、すっかりマイレボのアルバムなんかじゃなく、トータルでLovin' you になってるんだよね。おそらく権利上かもしれないけど、岡村ちゃんもいつかセルフカヴァーして作品にしたいんじゃないかな、よくライヴで歌うし


20曲・89分のボリューム、決して手の抜いたところなんて感じられない、大傑作。彼女をスターダムに押し上げ、マイレボ以上にアルバムをヒットさせる、そしてアルバムアーティストとも形容され、ライヴを中心に活動するスタンスの構築、音楽がもっともっと楽しくなっていくことを証明してくれたアーティスト。自分はこの頃まだ5‐6歳なのでリアルタイムではないですが、少し上の世代だと、アイドルとかに飽きた人たちは、ほんと聴いてたらしいしね。次はBreath 30周年盤出すなら、個人的に、美里が出てるパートの1987年の2イベントAlive Hiroshima, Beat Child 全編を収録したDVDつければ、アリって気がしてます。

<過去レビュー>
1989年 Flower bed
1992年 HELLO LOVERS
1994年 Baby Faith
2005年 M・Renaissance *Summer With You
2011年 Serendipity
2012年 美里祭り2012 WONDER 7 @日本武道館
2013年 Live Love Life at Hibiya Yaon
2014年 ここから
2015年 Ordinary Life
2015年 eyes (30th Anniversary Edition)
2016年 Lovin' you (30th Anniversary Edition) (Bonus DVD)
番外編 渡辺美里への岡村靖幸提供・参加、計23曲
番外編 渡辺美里への小室哲哉提供・参加、計20曲




Lovin’You
渡辺美里
エピックレコードジャパン
1991-07-01

渡辺美里 / Lovin' you (30th Anniversary Edition) (Bonus DVD) (2016)

キチャキャ1985年5月2日、デビューシングル"I'm Free" リリース。
1985年10月2日、デビューアルバムeyes リリース。
1986年1月、大ヒットとなる4枚目のシングルMy Revolutionリリース。
そして、1986年7月2日、前述のシングル以上の売上で大ヒットとなった今回取り上げる2ndアルバムLovin' you リリース。

あれから、30年・・・今年2016年11月30日、昨年リリースされたeyes (30th Anniversary Edition) に続いて、
Lovin' you (30th Anniversary Edition) が発売されました。

昨年の30周年盤は、ボートラ3曲を固定に、LPレコード付の限定盤もありましたが・・・
今回の30周年盤は、リマスタリングCD2枚組に特に何もテコ入れは無く
(既に10曲ずつの2枚それぞれであるからこその、味や歴史があるからね、流れを壊さないよう完結のまま)、
限定盤は、7インチサイズの箱でのパッケージになっており、100Pブックレットも付いている上
(見たことなかった写真オンパレード、びっくりなのがアイドル顔負けの腕肌露出や、メイクの写真)、
更に更にナントナント、1986年8月8日、第1回 西武球場ライヴのDVD付(本ライヴ単体でのパッケージは初!)
そして、早期予約者には今こそ再ブーム中のメディアとして音無しカセット付きの超限定盤も(期間限定予約)。

今回は、やっぱり、CDの良さを噛み締めて聴くよりも、DVDを観たかった(笑)。
なので、そっちを先に取り上げます。まず言えるのが、
今回はあくまでもLovin' you をメインにしているわけで、オマケにしているのは想定の範囲内でした。
ここでフルヴァージョンのDVDを用意してくるわけが無い。
そういうのは、ファンはガッカリ1000回目ですが分かっています。

当時のセットリストだと22曲歌ってるんですが、
今回の収録では2曲の未発表映像が追加されたものの(ま、目玉曲なので嬉しいところ)、
あとの10曲は未収録。こりゃ、あと4半世紀は勿体ぶるな(笑)。
最初に全体的な感想で言うと、12曲・60分、DVDの画素は粗目。
これは何とかならなかったのだろうか、後世に残す歴史的記録であれば、Blu-ray でも良かったとも思えます。

なにせ、女性ソロシンガー初の球場ライヴ公演の収録です。
でも、実際は本作リリースからちょうど1ヶ月後の1986年8月2日大阪球場が彼女にとっても、
日本女性ソロシンガーにとっても初の球場ライヴ公演、ということなのか、
DVDのタイトルは MISATO / KICK OFF at SEIBU STADIUM 1986.8.8 となってますが、
ジャケット自体は8月1日の大阪球場の写真なんだよなぁ、なんかシックリ来ないなぁ。

これまで、Born シリーズだけでなく、西武球場をまとめたDVDだったり、
DVD BOX スタジアム伝説などもあったけど、ステージ裏の映像などは一切ないし、
出だし、ほんと画素が粗い。驚くレベル。敢えての演出と信じたいところ。。

<Bonus DVD>
1. 18才のライブ
出だしからパワーが凄い、これがデビュー1年3ヶ月の二十歳ホヤホヤのシンガーという事に驚かされる。西武球場も、当時は埋まってないライヴってザラだったんだけど(当時はまだライヴ文化じゃないし)、かなり埋まってる、集客にしても驚異。当時、まだTVだって2回しか出てない若手。よくも3万人以上も集まったもんだと、圧倒。この曲では特に左にチラチラ、肩掛けキーボードで踊る小室哲哉
2. Teenage Walk
前曲、案外フルではなく、終盤後奏カットされてしまい、マイレボの次のシングルに突入。どこまでも伸びやかに安定感をもって歌う力、結構エコーが強いかな?この曲くらいから、音質とか画質とかよりも、本質に惹きこまれてきた、やっぱパワーが凄い
3. eyes
前曲からMCもあって(本当は間に3曲あるんだけど)、いい具合に繋がって、デビュー作タイトル曲を。子供っぽく歌うレコードヴァージョンよりも、艶やかに伸びやかに成長っぷりを示して披露してくれるのが印象的
4. Lovin' you ※初映像化
ここから8曲連続Lovin' you からの曲、そして、これが目玉のタイトル曲初映像化。これは絶対に惹きこまれる!!口パクと思ったくらいに、鳥肌、上手い。本当に、これをお蔵入りにしてた関係者、いやー、今回蔵出しに感謝です。アップのカメラアングル、さらにストーリーを語るような抑揚、強弱、音程の行き来の素晴らしさ、曲も詞も歌も、これは絶対に絶賛!!自分、前述色々書きましたが、これ見て、もう大満足にぶっ飛んでしまいました
5. 嵐ヶ丘
当初、前曲の前の位置(ディスク2. 9曲目)に置かれていた曲、攻撃的にライヴにモーションを掛ける。にしても、今回画素が粗いなぁと再び。。流星のように登場したロックヒロイン、パワーもオーラの変化も凄い。今の歌手に無い、なんというのかなぁ、決意というか、伝える思いが半端ない


6. Resistance
今度はディスク1.9曲目。同じテイストの激しさ帯びる曲。ロックなんだけど、この頃から結構ハッキリ歌詞を歌っているのは印象的。高域な曲が多いけど、卒なくポンポン高域が出まくり、安定感、踏ん張らず心で声が出まくってる感じだし
7. My Revolution ※初映像化
一部見たことあったシーンはあるけど、音源自体は初出し、それと被っての映像は初!前2曲に比べると表情も変って、届けるというのが分かる曲。ファンと共に歩む、そんなのもわかるから、この二十歳、とんでもないことになってる…既に伝説
8. みつめていたい (Restin' In Your Room)
前曲シングルのB面でもあったけど、ハイパーに乗ってる曲。スコーンと抜けてて気持ちよい、ガールズロックというのが似合う。最後の花火の演出なんかも球場ならでは
9. 男の子のように
アンコール1曲目。ステージに座って、しっとりと朴訥と歌うバラード。こういう、女の子の一面なんかにも一気に変われるのは凄い表現者、敢えてのヘタウマっぽい感じがデビュー当時のたまの魅力
10. Long Night
ディスク1.1曲目。続いて、マイレボばりに青春まっしぐらに会場と燃える曲。彼女の立ち位置を表した曲だし、迷わず走っていくスタイル、主張が眩しい


11. 悲しき願い (Here & There)
ディスク2.1曲目。まだまだ声が出まくる、なんだろ、天性なんだか鍛錬なんだか。ライヴでは神が乗り移るのか、まだまだどこまでも駆けていく
12. Growin' Up
最後はオマケな感じでかっ飛ばし、デビューアルバムからの核となるシングル。高速歌いっぷり、会場も楽しんでるなぁと(実は、この曲の後、“きみに会えて”がラストみたいなんだけどね)


今回は、猛烈嬉しくなってDVDのみ取り上げました。凄い記録です。どっかのタイミングで高額商品で良いので、初期西武のブルーレイフルボックスをお願いします(笑)。近日、本編リマスタリングからの感想も書いてみたいと思います。いやー、とにかく音楽がこれからもっと面白くなるぞ、という時代が分かる、それもライヴ自体がまだまだ産業として弱い時代なので、凄い新星って感じです。

<過去レビュー>
1989年 Flower bed
1992年 HELLO LOVERS
1994年 Baby Faith
2005年 M・Renaissance *Summer With You
2011年 Serendipity
2012年 美里祭り2012 WONDER 7 @日本武道館
2013年 Live Love Life at Hibiya Yaon
2014年 ここから
2015年 Ordinary Life
2015年 eyes (30th Anniversary Edition)
番外編 渡辺美里への岡村靖幸提供・参加、計23曲
番外編 渡辺美里への小室哲哉提供・参加、計20曲




Lovin’You
渡辺美里
エピックレコードジャパン
1991-07-01

Zapp / Zapp Vibe (1989)

51BobX4yD7Lザップ、1980年のデビューからヒットを着実にヒットを飛ばしてきたけど、1985年の4thくらいからだんだんと威力は弱まり、本作は4年振りとなる5th、R&B34位・POP154位を記録(初のR&B10位落ち)。本作は5作目あって、今まで通りZapp V というタイトルでもあるんだけど、Five とVibe を掛け合わしたようなタイトルにもなってます。本作からは、以前にもましてスタイルが変っていく中、時代との折り合いがどうなっていたかは注目。決してヒットとは離れてしまったけど、彼らがザップとして継承したかったものとは?!

1. Ooh Baby, Baby
1stシングル、R&B18位を記録。Smokey Robinson 名曲カヴァー、しっとりスロウの中をオートチューンで全編飾られる異色BGM的。新たな風合いとしてオープニングを努める、不思議な感触


2. I Play The Talk Box
3rdシングル。ストリートに根ざしつつ、オートチューンは変らず。ラップが入り、結構時代は付いてる感じがします。彼らの一定の温度も悪くないんだけどなぁ


3. Stop That
インスト部多めに、オートチューン少な目、涼しげな男性ヴォーカルが音に隠れながらBGM的進行。ファンクでもアダコンでもなく、新境地を目指している印象
4. Fire
2ndシングル。かなり先端を行ってる格好良さ、うねり、帯びる激しさを持ちつつも、音を的確に飛ばしながらヴァイブを意識したようなファンク突進


5. Been This Way Before
Earth, Wind & Fire のような煌くスロウバラード、おとなしいくらいにシッポリ纏まったヴォーカルだったり、色々伏線の汲み方はクールなんだけど
6. Back To Bass-iks
ヒップホップ期にて、うねうね低域を連呼させつつ、洗練したヴォーカルを被せるという、かなり粋な融合。でもオートチューンは過度かな
7. Jesse Jackson
何とも、ゴスペルシンガーを憂うような…でも、曲としては楽しげに運ぶサウンド、ザップの意気もなかなか。80年代ポップが程よくブレンドされ、楽しい全体
8. Ain't The Thing To Do
もっさり、80年代幕開けの頃のサウンドに近いかも、古き良き時代を表したような。そこに、ちょっと男気なヴォーカルは若干実直すぎるかも
9. Sad-Day Morning
急落更に50年代のブルースみたいになってて、色々演出こだわってたんだなぁと。ヴォーカルだったりアレンジで新しさが加わり異色さも
10. Rock Star
ロックというより、ラップ世界に誘われた逸材。今で言うとBruno Mars とやってる音楽は変らないなぁと。フックだったり、覇気は気持ちよし
11. Jake E Stanstill
2ndシングル両A面。ラストは、インストで、アルバムエンドに面白い〆。更に世界の旅にも近い感じもするし、そっけない天気予報のBGMにも感じる


11曲・44分半、よくもわるくも、ザップって印象ではなくなってるなぁと。あらゆる時代の音を巡らせたような作品という印象が強かったかも。でも1曲目から惹き込まれるものはあったし、最大限彼らのクリエイティヴと時代を意識したような作風。再評価は微妙かもしれないけど、もっと前のザップを好きだったら、通過としては聴いても良いかもなぁと。

<過去レビュー>
1980年 Zapp

Zapp V
Zapp
Warner Bros / Wea
1989-09-08

V
ザップ
ワーナーミュージック・ジャパン
2015-08-19

V(Five)
ザップ
ダブリューイーエー・ジャパン
1989-10-10

V
ザップ
ダブリューイーエー・ジャパン
1998-02-25

Cubic U / Precious (1997)

418HGHAT5QL__SY355_宇多田ヒカルがデビューした年、First Love が日本最高売り上げを記録する中、それよりも前に母藤圭子、父でありpro. である宇多田照實と親子3人でタッグを汲んだキュービックU。決して、当時アメリカでヒットしたとかじゃなく、インディーズでリリースされたに過ぎなかったわけだけど、日本では話題となり、50万枚の大ヒット、オリコン2位を記録。本格的なUTADAのアメリカデビューは2004年だったけど、それよりも前に実験的にこのようなCDがリリースされていたのは、親の先見の目あってこそだなぁと。当時、自分も本作を入手してましたが、リピートするというより、関心をもって聴いたなぁという感じでした。今年宇多田ヒカルの新作が大きな話題になったことで、振り返って取り上げてみたいと思いました。

1. My Little Lover Boy
ぎこちないけど、10代前半の女の子、そして日本人による完全英語詞作品ってだけでも当時は斬新なわけで。個人的にはAaliyah デビュー時あたりと比して聴いてしまうんだけど、節々が既に本作もR&Bを意識されてるんだよね、単のポップアルバムを作りたかったわけじゃないなぁと、当時のバックアップ陣の意識の高さも感じられる


2. Lullaby (ft. Stanley "Jamal" Hampton)
声の成分のインパクトが強いかな、放ち方とか区切り方とか、アドリブの入れ方もだけど、先駆R&Bを感じられる!黒人女性コーラスを走らせたり、センスが良いなぁ
3. How Ya’Doin’
UTADAばっか歌うよりも、バックシンガーだったり音だったり、そういうのを上手く飛ばしながら展開するので、当時の歌に頼らないR&Bの礎が着々と響く
4. I Don`t Love You (ft. Stanley "Jamal" Hampton)
哀愁あるようなループに、男性シンガーの若さ・憂いさが結構先頭に立って響くというか。UTADAのヴォーカルはまだ甘めで、それが顕著なのでキュンと来ちゃうんだけど
5. Promise
スロウに、探りながら歌いつつも、これを子供脱皮のように歌われて、なんかかわいらしさ全開なんだけど、コーラスも盛り立てて聴き心地はアップ
6. Ticket 4 Two
メロディも難しいけど、彼女が歌うと、それがより複雑な伏線になっているようで、ゆえにR&Bの滑らかさ・深さみたいなのを生み出しているようで、じっくり聞き入ってしまう
7. Take A Little While
音はだいぶあっけらかんとしているけど、彼女が歌うと難解な部分が下りてくるよう、なんでだろう。包容力あるヴォーカル、色々な音と混じって壊れそうで、前には進む、不思議な雰囲気充満
8. 100 Reasons Why
軽快なステップに、女性コーラスなんかは結構しっかり脇固めてるんだけど、実際リードはまだまだ修行中って感じかな、味はある、成長途中
9. Work Things Out
メロウに寄り添いたくなるサウンド、自分は好きだなぁ。正に当時のUS R&Bで言うと、TLCだったりまでを意識されているようだし、構えながらもツボはぐんぐん押される
10. Close to You (ft. Stanley "Jamal" Hampton)
Burt Bacharach, Hal David 作、Dionne Warwick, The Carpenters などの歌唱でも有名な曲。 一番ポップ寄りになってるはシングル要素、そして元のポップさってのはあるかもしれないけど、バラードにアレンジしつつ、丁寧に紡ぎ、案外両者のリードによって朴訥としたR&Bの片鱗の創生


11. Precious Love (ft. Stanley "Jamal" Hampton)
ラストはタイトル的な曲、なんか平和な感じで、ふわっとしつつも、収まりが良く、ただUTADAの出番が少なく、スタンリーがメインの曲になってて、UTADAはキュービックUとしてリードをサポートするコーラスに徹する感じで、なんか面白い終わり方

<Bonus>
12. How Ya’Doin’ (Rap Version ft. Saphyri "Phyre" Justiz)
3曲目にラップを加えて、尺が40秒程拡張


11曲・51分、1曲国内盤はボートラ追加で55分。当時、恐らくヒットを狙ったというよりも、完全にデビュー作だったり、その後のUSデビューのための架け橋として、素晴らしい戦略の元、用意されてたアルバムな気がしてなりません。UTADA関係なしに、日本人でR&Bが好きな人なら、普通に「おっ!」と驚いたり感じるものはあると思います。いやー、遜色ない仕上がりだと思います。追記で、この若い声を収録してたことも貴重すぎる!

<過去レビュー>
2004年 Exodus
2009年 This Is The One

Precious
Cubic U
EMIミュージック・ジャパン
1999-03-31

キュービック・ユー
EMIミュージック・ジャパン
1998-01-28



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